空室対策アイデア15選!賃貸マンション・アパートオーナー向けに紹介

賃貸経営において、空室は収益を直撃する最大のリスクです。期間が長引けば家賃収入が途絶え、ローン返済や管理費の負担が一気に重くなります。

ただし、適切な空室対策をとれば状況は変えられます。工夫次第で満室経営を実現し、安定した収益を継続して得ることが可能です。

本記事では、賃貸マンションやアパートを経営するオーナーの方に向けて、実践的で効果の高い空室対策アイデアを15個ご紹介します。


空室対策の重要性

賃貸経営を安定させるには、空室対策が欠かせません。空室が続けば家賃収入が減少し、ローン返済や固定費の支払いに直結します。収入が途絶えても、管理費や修繕積立金、固定資産税といった支出は変わらず発生するため、キャッシュフローはすぐに悪化します。

さらに、空室が目立つ物件は市場での評価が下がり、資産価値の低下を招きます。売却を検討する際にも、入居率が低い物件は買い手がつきにくく、希望価格での売却は難しくなるでしょう。

また、空室が長期化すると、不審者の侵入や建物の劣化といった二次的リスクも高まります。こうした悪循環を避けるためにも、オーナーは戦略的に空室対策へ取り組むことが重要です。


空室になる7つの原因

効果的な空室対策を行うには、まず「なぜ空室が生まれるのか」を正しく理解することが大切です。原因を把握しないまま対策を打っても、効果は限定的になってしまいます。

ここでは、空室が発生する主な7つの理由を取り上げ、それぞれの特徴を解説します。

立地条件が悪いため

立地条件は賃貸物件の競争力を大きく左右します。駅から遠い、周辺に商業施設がないといった立地の悪さは、入居希望者から敬遠される大きな理由です。

たとえば、最寄り駅から徒歩でかなりの距離がある場合や、バスの本数が少ないなど交通の便が悪い地域では、通勤や通学の利便性を重視する入居希望者から敬遠されがちです。また、墓地や火葬場、工場といった嫌悪施設が近くにある場合も敬遠されやすくなります。

入居条件が厳しいため

入居条件が厳しすぎると、入居希望者の幅が狭まり、空室が埋まりにくくなります。高齢者や外国人、ペット飼育希望者、楽器演奏希望者など、特定の条件で制限している物件は、それだけで潜在的な入居者を失っています。 

家賃や管理費が相場より高いため

家賃や管理費が周辺の相場よりも高い場合、入居希望者はほかの物件を選ぶ傾向があります。家賃設定は賃貸経営においてもっとも重要な要素のひとつです。周辺の競合物件の家賃を調査し、適正な価格を設定することが必要です。 

ただし、単純に家賃を下げることは最終手段と考えるべきです。家賃の値下げは長期的な収益悪化を招き、一度下げた家賃を元に戻すことは困難だからです。家賃を下げる前に、物件の魅力を高めることで価格に見合った価値を提供することを優先しましょう。

設備や間取りに問題があるため

築年数が古い物件では、設備や間取りが現代の生活スタイルに合わず、敬遠される原因となります。バランス釜と呼ばれる旧式のガス給湯器、老朽化したキッチン設備、3点ユニットバスなどは入居者から不人気です。

また、和室が多い間取りや収納スペースが少ない間取りも現代のライフスタイルにマッチしにくく、空室の原因となります。

建物や入居者の管理が不十分なため

建物の管理状態は、物件の第一印象を大きく左右します。エントランスや廊下、階段などの共用部が汚れていたり、ゴミ置き場が散らかっていたりすると、内見に来た入居希望者に悪い印象を与え、入居を断られる原因となります。

また、入居者間のトラブルへの対応も重要です。騒音問題やゴミ出しルールの違反、駐車場のトラブルなどが放置されると優良な入居者が退去してしまい空室が増える原因となります。

周辺に競合物件が多いため

競合物件が多いエリアでは、差別化が大きな課題となります。とくに新築物件が次々と建つ地域では、築年数が古い物件ほど不利になりやすいのが現実です。

競争を勝ち抜くには、物件の強みを明確に打ち出すことが欠かせません。立地の優位性や独自の設備、リフォームによる快適さ、丁寧な管理体制など、ほかにはない魅力をアピールすることが有効です。

宣伝広告が効果的ではないため

どれほど魅力的な物件でも、情報が入居希望者に届かなければ空室は解消されません。

現在の部屋探しはインターネットが中心であり、不動産ポータルサイトなどでの掲載が入居獲得の大きな決め手となります。こうしたサイトに情報が載っていない、あるいは掲載内容が乏しいと、そもそも目に留まらない可能性があります。


おすすめの空室対策アイデア7選

空室の原因が特定できたら、具体的な対策を実施します。ここでは、効果が高く、多くのオーナーが実践している7つの空室対策をご紹介します。

募集内容を見直す

物件情報の見せ方を工夫することは、コストをかけずに取り組める効果的な空室対策です。現代の入居希望者の多くは、不動産ポータルサイトで物件を検索し、気になるものを絞り込んでから仲介会社に問い合わせます。

その際に大きな影響を与えるのが、掲載されている写真や説明文です。写真は明るく鮮明に撮影し、部屋全体が分かるカットを用意することが大切です。加えて、キッチン・バスルーム・トイレといった設備も個別に掲載すれば、生活のイメージがしやすくなります。

説明文では、単なる間取りや仕様の説明にとどまらず「この物件に住むとどんなメリットがあるか」を具体的に伝えることが重要です。正確で魅力的な情報を届けることで、入居希望者の関心を引き、内見や入居につなげられます。

共用部分の清掃を徹底する

内見時の第一印象は入居の可否を大きく左右します。

とくにエントランスや廊下・階段・ゴミ置き場・駐輪場といった共用部の清潔さは、物件全体の管理状態を示す重要なサインです。ここが汚れていると「管理が行き届いていない物件」と見られ、入居を敬遠される可能性が高まります。

清掃は週1回程度を目安に定期的に行うのが理想です。床や壁の汚れを拭き取る・階段や手すりのホコリを除去する・ゴミ置き場を整理するといった基本的な作業を続けることで、美観を維持できます。

さらに、専門業者や管理会社に委託すれば安定した水準で清掃を徹底でき、オーナーの負担も軽減できます。


リフォーム・リノベーションをする

築年数が経った物件や設備の古い物件には、リフォームやリノベーションが効果的です。原状回復は入居前の状態に戻す基本的な作業ですが、それだけでは魅力を高めることはできません。

リフォームは老朽化した設備や内装を改善し、物件の印象を回復させる工事です。さらに一歩進んだリノベーションでは、間取りを変更したり大規模な改修を行ったりすることで、物件の価値を大きく引き上げられます。

たとえば、3点ユニットバスを分離する・和室を洋室に変更する・壁を取り払って広いリビングにするなどが代表例です。

リノベーションには費用がかかりますが、家賃を引き上げられる可能性があり、長期的には収益向上につながります。実施にあたっては、費用と効果のバランスをしっかり見極めることが重要です。

入居者に人気の設備を導入する

物件選びの際、設備の充実度は入居者にとって大きな判断材料になります。宅配ボックスや無料Wi-Fi・防犯カメラ・TVモニターホン・オートロック・浴室乾燥機といった人気設備を導入することで、競争力を高めることができます。

これらの設備は検索条件として指定されることも多く、備わっていないだけで候補から外れてしまう場合があります。たとえば、宅配ボックスは1台あたり約2万円、10戸規模のアパートに無料Wi-Fiを設置する場合は5万~10万円程度のコストで導入可能です。

大切なのはターゲット層のニーズを見極め、費用対効果の高い設備を選ぶことです。的確な投資によって入居希望者に選ばれる物件へと近づけます。

退去を防ぐための施策を講じる

空室対策は新しい入居者を獲得するだけではなく、既存の入居者に長く住んでもらうことも大切です。退去を防げば空室期間がなくなり、原状回復や募集にかかる費用も抑えられます。

入居者の満足度を高めるには日常的なコミュニケーションが欠かせません。定期的な連絡や挨拶、迅速なトラブル対応によって「大切にされている」と感じてもらうことができます。

また、24時間対応のサポート窓口を設ければ、夜間や休日の緊急トラブルにも安心して暮らせる環境を整えられます。入居者が物件に愛着を持ち「長く住み続けたい」と思える環境づくりが安定した賃貸経営につながります。

管理会社を変更する

空室が3か月以上続く場合は、管理会社の対応に問題がある可能性があります。管理会社は入居者募集や仲介・物件管理・トラブル対応まで担っており、その質が入居率に直結します。

見直すべきサインとしては、募集活動が不十分・物件の魅力をうまく発信できていない・清掃や点検が行き届かない・トラブル対応が遅いなどが挙げられます。

よい管理会社を選ぶポイントは、地域に精通していること・営業力があること・仲介店舗とのネットワークが豊富であることです。信頼できる会社に任せることで空室対策は格段に進めやすくなります。

不動産会社と良好な関係を築く

仲介会社や営業マンがどれだけ物件を積極的に紹介してくれるかは、入居率を大きく左右します。競合が多いエリアでは、自分の物件を優先的に扱ってもらうために関係づくりが欠かせません。

具体的には、月に1回程度は仲介会社を訪問し最新の写真や情報を提供することが有効です。営業マンが入居希望者に紹介しやすいよう物件の魅力を簡潔にまとめた資料を渡すと効果的です。

また、現地にキーボックスを設置して案内をスムーズにする、契約手続きを簡素化するなど「手間をかけさせない工夫」も重要です。加えて、家賃の1~2か月分の広告料を支払うことで、営業マンの積極的な紹介につながります。



慎重に検討すべき空室対策8選

空室対策の中には、短期的には効果がありますが、長期的には収益悪化やトラブルのリスクをともなうものもあります。ここでは、慎重に検討すべき8つの対策を解説します。

フリーレントを導入する

フリーレントとは、契約後の一定期間(一般的に1~2か月)の家賃を無料にする仕組みです。初期費用を抑えたい入居希望者にとって魅力的であり、短期間で空室を埋めやすくなる効果があります。

一方で、導入期間中は家賃収入がなくなるため、収益悪化のリスクがあります。設定期間が長すぎれば年間収益に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

そのため、フリーレントを導入する際は期間を慎重に決め、リフォームや設備投資などほかの対策と組み合わせることが重要です。

家具付き物件にする

家具付き物件は、短期滞在者や単身赴任者、学生など「引越しの手間を減らしたい層」に人気があります。とくに法人契約の社宅としては一定の需要が見込めます。入居者にとっては家具を揃える必要がなく、すぐに生活を始められる点が大きなメリットです。

一方で、家具の管理や破損時の修理費用が発生するほか、入居者の好みに合わない場合は逆に敬遠されるリスクもあります。

そのため、導入する際はターゲット層を明確にし、ニーズに合った家具を選ぶことが欠かせません。

ペット可の物件にする

ペットを飼う世帯が増えており、ペット可物件の需要は年々高まっています。対応物件にすることで入居者の幅が広がり、空室を埋めやすくなるのが大きなメリットです。

ただし、騒音や臭い・室内の汚損といったトラブルが起きやすく、原状回復費用が通常より高額になる場合もあります。

そのため、ペット可にする際は契約内容を明確にし、原状回復費用の負担について入居者と合意しておくことが重要です。敷金を高めに設定する、飼育に関する規約を細かく定めるなどの対策を講じることで、トラブルを防ぎながら需要を取り込むことができます。

楽器可の物件にする

楽器演奏を希望する入居者層を取り込む方法として「楽器可物件」があります。音楽大学の近くや芸術系の学生が多いエリアでは一定の需要があり、競合が少ないため家賃を高めに設定できるメリットもあります。

ただし、最大の懸念は騒音トラブルです。防音対策が不十分だと、ほかの入居者や近隣住民からクレームが発生し、トラブルに発展する可能性が高まります。さらに、防音工事には多額の費用がかかり、完全な防音環境を整えるのは容易ではありません。

導入する場合は、演奏可能な時間帯を制限する・防音室を設置するなど、現実的な対策を講じることが欠かせません。慎重に検討したうえで判断すべき施策といえます。

外国人労働者向けにする

外国人労働者の増加により、外国人向け賃貸物件の需要は高まっています。受け入れることで入居者の幅を広げ、新たな需要を取り込める点が大きなメリットです。

一方で、文化や習慣の違いからトラブルが起きる可能性もあります。たとえば、ゴミ出しルールが守られない・生活音が大きい・家賃滞納のリスクが高いといったケースです。

これらを防ぐには、保証会社の利用を必須とする、入居審査時に面談等を行い日本語能力や生活様式を確認する・ゴミ出しルールを多言語で掲示するなどの対策が有効です。リスク管理を徹底することで、安心して需要を取り込めるようになります。

敷金や礼金を減額する

敷金や礼金を減額、あるいは廃止することで初期費用を抑えられ、入居のハードルが下がります。結果として入居希望者が増えやすくなるのが大きなメリットです。

一方で、敷金は家賃滞納や退去時の原状回復費用を担保する役割があります。減額すればオーナー側のリスクが高まり、トラブル時に費用を回収できない可能性があります。

そのため導入する際は、保証会社の利用を必須にする・入居審査を厳格化するなど、リスクを補う仕組みをあわせて整えることが重要です。

更新料を見直す

更新料を免除または減額すると入居者の負担が軽くなり、更新時の退去を防ぎやすくなります。結果として長期入居につながる点が大きなメリットです。

一方で、更新料は数年に一度の貴重な収入源であり、減らすと収益が下がるというデメリットがあります。

そのため、更新料を見直す際にはほかの初期費用とのバランスや総合的な収益計画を考慮することが重要です。長期的な経営の安定を見据えた判断が求められます。

家賃を値下げする

あらゆる対策を試しても空室が埋まらない場合、最終手段として家賃の値下げを検討します。即効性が高く、短期間で入居者が決まる可能性があるのがメリットです。

しかし、一度下げた家賃を元に戻すのは難しく、長期的な収益悪化を招く恐れがあります。さらに、既存の入居者からも値下げを求められ、物件全体の収益が下がるリスクがあります。

そのため、家賃値下げはほかの施策をすべて試したうえでの「最後の選択肢」として、慎重に判断することが重要です。


まとめ

空室対策は賃貸経営の安定を左右する重要な課題です。まずは空室の原因を正しく把握し、物件の状況に合った効果的な施策を講じることで、満室経営を実現し、安定した家賃収入を確保できます。

ただし、多忙な経営者にとって賃貸経営の細かな管理まで自ら対応するのは容易ではありません。

日住サービスでは、京阪神エリアに特化した賃貸管理サポートを提供しています。計画から実行まで一貫して支援することでオーナー様の負担を軽減し、安定した賃貸経営を実現します。

創業以来約半世紀の歴史により築き上げた情報ネットワークと長年の実績をもとに経験豊富な専門スタッフが対応いたします。空室でお悩みの方、経営をより効率的に進めたい方は、ぜひ日住サービスへご相談ください。


株式会社日住サービス

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