不動産売却の費用は「どのタイミング」で「どれくらい」必要?
自宅や土地を売却する際には、不動産会社に支払う「仲介手数料」が必要です。売却で利益が出た場合は、納税も必要です。
売買契約が結ばれる前にかかる費用
自宅や土地などの不動産の売却は、査定をうけることから始まります。査定は無料です。インターネットの「一括査定」サイトを利用すれば、複数の不動産会社に不動産の売却価格を調べてもらうことができます。詳しくはこちら。
次に、売却を依頼する不動産会社を決めて、仲介契約を結びます。この契約をする時点では、特に費用は発生しません。
ただし、契約とは別に「不動産の売却に向けてハウスクリーニングする」「更地として売却するために古家を解体する」「境界が定まっていない不動産ならその確定測量をする」等の費用は、都度必要になります。
仲介手数料の支払いは売買契約が成立してから
不動産会社に物件の販売活動を行ってもらい無事に売れた場合に、仲介業務の「成功報酬」として仲介手数料を支払います。仲介手数料に含まれるのは通常業務で発生する費用で、広告費なども含まれます。
一般的に売買契約時に仲介手数料の50%を支払い、物件の引き渡し後に残りの50%を支払います。
仲介手数料の上限は法律で定められており、不動産の売買価格によって変動します。
売買価格が200万円以下の場合の仲介手数料は、(売却価格×5%)+消費税10%
200万円を超え400万円以下の場合は、(売却価格×4%+2万円)+消費税10%
400万円を超える場合は、 (売却価格×3%+6万円)+消費税10%
「仲介手数料」については、別コラムで取り上げていますので、詳細はそちらをご参照ください。
売買契約が成立しなくても仲介手数料が必要な場合がある
売買が成立しなくても仲介手数料の支払いが必要な場合があります。
1:売買契約後に売主又は買主の事情で契約を解除する場合(手付解除)
売買契約の後、手付解除期日までは、原則理由を問わず、買主は手付金を放棄することで、売主は手付金を返還し、さらに手付金と同額を買い主に支払うことで、契約を解除できます。手付解除の場合は、売買は成立していませんが、仲介手数料を支払わなくてはいけません。
2:売買契約に対してどちらかが守らず契約を解除する場合(違約解除)
売買代金の未払いなど契約違反(債務不履行)が生じた場合は、相手方が損害賠償の請求を行い、催告しても履行されないと契約を解除できます。この場合も、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
印紙税・住宅ローン返済手数料・抵当権抹消費用が必要
売買契約書の作成時には印紙税が必要です。売買契約書に「収入印紙」を貼り付ければ、納税を果たしたことになります。印紙税は契約書1通ごとに課税されます。売主が1通保管する場合は、売買契約書が2通になるので、2通分の印紙代がかかります。印紙税は契約金額100万円超~500万円以下なら1000円、5000万円超から1億円以下なら6万円など、契約金額により異なります。
売却する不動産にローンが残っている場合、一括返済のために金融機関の事務手数料が必要です。繰り上げ返済の手数料は、金融機関によっても異なります。「窓口で行う場合>電話で行う場合>ネット経由で行う場合」の順で、安くなることが一般的です。
抵当権抹消費用とは、ローンを完済した際に抵当権を抹消するためにかかる費用です。抵当権を抹消したら登記情報を変更しますが、その際に必要な手数料が抵当権抹消費用です。個人で抵当権の抹消を行う場合、不動産1件につき1000円の登録免許税がかかります。司法書士に依頼する場合は、実費と報酬を含めて5000円~2万円程度です。
確定申告後に譲渡所得税を納める必要がある
不動産を売却して得た「譲渡所得」(利益)に対して税金(所得税、住民税)がかかります。譲渡所得がなければ税金はかかりません。譲渡所得は、「譲渡所得=
不動産の売却価格 – 取得費 – 譲渡費用」で計算できます。
譲渡所得にかかる税率は、物件の所有期間が5年を超えているか否かで変わります。
・短期譲渡所得(所有期間5年以下の土地・建物)の税率は39%(所得税 30%
、住民税 9%)。
・長期譲渡所得(所有期間5年超の土地・建物)は、20%(所得税 15%
、住民税 5%)。
<特例を利用すれば税金を軽減できる>
不動産売却で発生する税金に対して、一定の条件を満たせば負担が軽くなる特例があります。特別控除を活用するためには、確定申告が必要です。譲渡所得そのものが、手続きなしに減らせるわけではありません。
1:3000万円特別控除
家を売却して売却益が出た場合に、下記の条件を満たせば譲渡所得から3000万円までが控除できます。
・マイホームに住まなくなってから3年以内に売る
・マイホームを売るまでにその他の土地活用をして利益を得ていない
・売った年から3年前までこの特例を受けていない
・売り手と買い手が親子などの特別な関係にない
この場合、不動産を売却して得た利益が3000万円以下であれば税金がかかりません。
2:10年超所有軽減税率の特例
不動産の所有期間が10年以上の場合、3000万円の特別控除の特例と併用して、軽減税率の特例を適用できます。譲渡所得の内6000万円以下の部分については、通常20%(長期譲渡所得)の税率が14%になります。
3:居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
不動産を売却して赤字になる(譲渡所得がマイナスになる)こともあります。このような時に家計の負担を軽減してくれるのが、「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例」です。この特例を受けると、売却の損失と他の取得との間で損益通算ができます。
損益通算とは、ある所得で損失が出たとき、他の所得からその損失を差し引くことです。その分課税対象となる所得金額が抑えられ、税金を少なくできます。さらに、その年の所得から引ききれなかった損失金額があれば、翌年以降に繰り越して、その年の所得から差し引くことができます。繰越期間は最長3年間です。
<確定申告を税理士に依頼する場合の費用>
不動産売却は、利益が出た場合だけでなく、マイナスになった場合でも、必ず確定申告を行いましょう。確定申告は、税理士に依頼することもできます。税理士費用相場は、依頼する税理士事務所や土地売却時に出た利益(譲渡所得)の金額などに応じて変動しますが、概ね10~20万円程度です。前述の特別控除などを受ける場合は、基本的な税理士費用に加えて、追加費用が発生する場合があります。
確定申告を税理士に依頼する費用を抑えるためのポイントは、
1:複数の見積もりを取って比較すること
2:自分でできる作業は自分で行い、経費を節約すること
詳しくはこちら。
不動産売却時の確定申告の作業量は、さほど多くはありません。国税庁や税務署に相談窓口もあり、確定申告シーズンには無料相談も行われるため、自力でも対応は可能です。ただし、申告時の書類に使われている表現や税の制度など、いざ作業を進めてみると難しいと感じる人が多いかもしれません。
最後に
不動産を売却する際の主な費用は、仲介手数料です。「成果報酬」なので、売買契約が成立した場合のみ発生し、売却額に応じて上限が設けられています。
売却で利益を得れば税金がかかりますが、様々な軽減特例が用意されています。譲渡所得がマイナスの場合に、売却の損失と他の取得との間で損益通算ができる特例もあります。
特例を受けるには確定申告が必要です。確定申告など納税に関しては、税務署などの窓口が利用できます。
日住サービスでは、初回60分間無料の税務相談を行っています。いつでもお気軽に、お問い合わせください。
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