固定資産税の評価証明書とは?見方や取得方法などの基本知識



土地や家屋などの不動産を売却する際、取得しなければならない書類が固定資産評価証明書です。固定資産評価証明書は限られた用途で使われている書類であるため、あまり聞き馴染みのない人も多いでしょう。

そこでこの記事では、固定資産評価証明書の概要に加えて、具体的な用途や取得方法などをわかりやすく解説しています。加えて、書類を取得するにあたって注意しなければならないポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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固定資産評価証明書とは



固定資産評価証明書とは、土地や建物などの資産がどの程度の評価額であるかを証明する公的な書類です。固定資産評価証明書には、固定資産税の対象となる不動産や事業で使用している償却資産の評価額などの詳細が明記されています。

このような不動産の評価額に加えて、以下の項目も記載されています。

不動産の所有者
物件の住所
土地の面積や用途
建物の構造や種類
床面積
課税標準額

固定資産評価証明書には、課税の対象外となる不動産の情報も含まれているため、所有資産の全体像を確認する際には欠かせない書類といえます。

固定資産評価証明書の主な用途



固定資産評価証明書が使用される主なケースは、以下の3つです。それぞれの用途について解説します。


不動産の登記


不動産の売買や相続が発生した際、所有権の移転を正式に登記する必要があります。この際、固定資産評価証明書が必要です。


不動産の登記には、まず登録免許税を納める必要があり、固定資産の評価額を基準に計算されます。


相続登記や贈与登記の場合も同様で、登記の手続きには固定資産評価証明書が必要です。正式な手続きを踏むことで相続や贈与による名義変更が法的に認められ、正確な所有権の記録が保持されます。


固定資産評価証明書は登記申請時に法務局へ提出するため、コピーを保管しておくとよいでしょう。なお、不動産の取引が伴う場合は、登記に関する手続きは、司法書士に依頼します。

また、買い手側が融資を受けられる場合は、金融機関指定の司法書士となります。


日住サービスでは、不動産の売却査定依頼が可能です。査定方法は「簡易査定」と「訪問査定」の2種類から選べるため、不動産の売却をお考えの方はぜひ一度お問い合わせください。


相続税や贈与税の申告


相続税や贈与税を申告する際、具体的な金額を把握するために、不動産の評価額を計算しなければなりません。その際、土地の評価には「路線価方式」または「倍率方式」が使われます。


倍率方式が適用される地域では、固定資産評価証明書に記載された評価額をもとに評価が行われます。具体的な計算式は「固定資産税評価額×倍率」です。


一方、建物の場合、評価額は固定資産評価額と同じ数値となります。相続税や贈与税の申告には、このような評価額をもとに計算し、固定資産評価証明書を添付する必要があります。


土地や建物が相続や贈与の対象に含まれる場合、忘れずに準備しましょう


不動産に関する訴訟


不動産に関する訴訟を提起する場合、裁判の手続きにあたって申立手数料が必要です。申立手数料は、訴える内容や手続きの種類によって異なり、収入印紙を訴状や申立書に貼りつけることで、支払います。


不動産を対象とした訴訟では、該当する不動産の評価額に基づいて手数料が計算されるため、固定資産評価証明書の提出が求められます。



固定資産評価証明書の見方




固定資産評価証明書は項目に着目し、書類を確認しましょう。それぞれの項目において、具体的にどのような情報が明記されているのかについて解説します。


所有者


該当する不動産の所有者に関する情報が明記されています。所有者の氏名と住所が記載されることで、誰がその土地や建物の所有権を持っているかが明確になります。


いずれも、不動産の登記手続きや相続、贈与などにおいて重要な情報です。また、正確な所有者の確認は、税務上の手続きや法的な問題が発生した際にも必要となるため、証明書のなかでもとくに重要な項目といえるでしょう。


所在地


固定資産評価証明書には、対象となる不動産の正確な所在地が記載されています。市区町村や番地などの詳細な住所情報が明示されているため、所在地の項目を確認すれば、不動産がどこに位置しているかを特定できます。


不動産の取引や登記手続きにおいて、所在地の確認は不可欠です。また、税務関連の申請や各種手続きでも、所在地情報が重要な役割を果たします。


地目・地積(土地)


土地の「地目」と「地積」が記載されています。地目は土地の用途を示すものです。


たとえば、該当する土地に住宅が建設されている場合は「宅地」と表記されます。地目は、土地の利用形態に応じて区分され、田畑や山林のほか、農地や雑種地なども含まれます。


一方、地積は該当する土地の面積を指す言葉で、m2単位で不動産の面積が示されます。


種類・構造・床面積(家屋)


建物に関する種類に加えて、構造と床面積も記載されています。種類とは、建物の使用目的を示すものです。たとえば、建物が居住用の場合は「居宅」と、事業用の場合は「店舗」などと表記されます。


構造は、建物の造りを表す項目です。具体的には、木造や鉄骨造などが挙げられます。床面積は、建物の全体の広さを表し、地積と同様にm2単位で示されます。


評価額(価格)


該当する不動産の評価額についての項目も存在します。評価額は、土地や建物などの固定資産がどれほどの価値を持つかを示すものです。評価額が、固定資産税の計算基準となります。


評価額は市場価値とは異なり、税務上の基準で算定されます。不動産の売買や相続手続き、登記において、評価額は重要な指標となるため、正確な確認が必要です。


課税標準額


課税標準額とは、固定資産税の算出基準となる金額のことです。固定資産評価基準に基づいて計算され、評価額から必要な控除や特例措置が適用された後の金額が課税標準額として記載されます。


算出された金額に固定資産税の税率が適用されると、実際に納めるべき税額が決まります。そのため、課税標準額は固定資産税を算出するうえで重要な要素であるといえるでしょう。



固定資産評価証明書の取得方法




固定資産評価証明書の取得方法を4つのポイントで解説します。取得前に必要な確認事項を把握し、スムーズに証明書を取得できるよう準備しましょう。


取得できる場所


固定資産評価証明書は、土地や家屋がある自治体の窓口で直接取得するか、郵送で取り寄せることができます。窓口での取得を希望する場合は、必要書類を準備し、申請書を提出します。


なお、地域によっては取得場所が異なる場合もあり、たとえば東京23区では都税事務所での取得が可能です。6月以降であれば、対象の資産がある区以外の都税事務所でも取得できます。


郵送で取得する場合は、自治体のWebサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入の上、手数料の定額小為替や返信用封筒を同封して指定先に送付します。定額小為替は、郵便局で購入できます。


なお、一部の自治体では、コンビニエンスストアでの取得や電子申請も可能です。電子申請を利用する際は、マイナンバー対応のカードリーダーなどが求められる場合があるため、前もって詳細を確認しておくとよいでしょう。


郵送の場合、取得までに1週間ほどかかることがあるため、余裕を持った手続きが重要です。


取得できる人


固定資産評価証明書は、該当不動産に直接関係のある人のみが取得可能です。納税義務者や所有者、一緒に暮らす親族、相続人、借地権や借家権を持つ人、不動産に関する訴訟を提起する人、破産管財人などが対象です。


ただし、自治体によって特定の申請方法や書類が求められることがあります。事前に自治体のホームページで確認し、申請者の立場に応じた必要書類を準備することが重要です。


取得に必要な書類


取得に必要な書類は申請者の立場によって異なります。本人が取得する場合は申請書と本人確認書類が必要です。代理人の場合は、申請書、本人確認書類、所有者からの委任状が求められます。


相続人は申請書、本人確認書類に加えて、戸籍謄本や遺産分割協議書、遺言書などが必要です。借地人や借家人の場合は、賃借料の領収書など、借地権や借家権を証明する書類が求められます。


法人が取得する場合は、申請書に代表者の印鑑、また従業員であることを証明する書類の提出が必要です。また、顔写真のない本人確認書類の場合は、複数の書類が必要なことがあります。


取得にかかる費用


証明書の発行手数料が必要です。手数料は自治体によって異なりますが、一般的に1件あたり200円から400円程度となっています。


なお、手数料の金額は地域によって差があるため、あらかじめ確認することが求められます。複数件の証明書を申請する場合や郵送で申請する際は、必要な手数料を正確に把握し、適切に対応することでスムーズに取得できるでしょう。



評価証明書を取得する際の注意点



評価証明書を取得する際の注意点について解説します。

登記では最新年度の証明書が必要となる


不動産の登記手続きでは、最新年度の固定資産評価証明書が求められます。そのため、取得する際は誤りがないように年度を入念に確認することが重要です。

固定資産の評価額は3年に一度見直され、評価証明書は毎年4月1日に更新されます。そのため、登記手続きが4月1日以降の場合、必ず最新の証明書を取得することが必要です。

仮に旧年度の証明書を使用して手続きを進めると、再取得の手間や追加の手数料が発生する可能性があります。最新年度の証明書は4月1日から取得可能ですが、申請が集中する時期のため、郵送での手続きを検討する場合は、通常より日数がかかることも考慮しましょう。

過去の証明書も取得可能ですが、取得できるのは過去4~5年度分に限られる点にも留意しておく必要があります。

相続税や贈与税では該当年度の証明書が必要となる


相続税や贈与税の計算には、固定資産評価証明書が重要です。相続税の場合、相続開始日が属する年度の証明書が必要です。

相続の手続きは、相続開始から10ヶ月ほど過ぎて実施されるケースが少なくありません。そのため、年度が異なる場合もあります。したがって、最新の証明書が必ずしも必要ではなく、相続が発生した年度のものを取得することが求められます。

同様に、贈与税の申告でも、贈与が実施された年度の証明書が必要です。贈与税は贈与された翌年に申告するため、贈与のタイミングによっては最新の証明書ではない場合があります。

修正申告や期限後申告の際には、さらに過去の証明書が必要となる場合もあるため、適切な年度の証明書を取得し、正確に申告することが大切です。


まとめ


不動産の売却や相続、贈与、訴訟の際には、固定資産評価証明書をもとに資産の価値を正確に評価し、必要な手続きを進めることが求められます。取得方法や必要な書類、費用も事前に確認しておくことで、スムーズに対応できるでしょう。

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