今注目されている 「二世帯マンション」って?
住宅購入を検討する世代で、自分の子育てや親の介護に対する不安を解消するために、二世帯で暮らす「二世帯マンション」という暮らし方を選ぶ人がいます。
では戸建ての二世帯住宅ではない、その「二世帯マンション」というのは、どのようなものなのでしょうか。今回はそのメリットやデメリットを押さえながら、二世帯マンションという暮らし方を紹介していきます。
まず、二世帯マンションとは?
「二世帯マンション」と聞くと、単純にマンションの一住戸に親世帯と子世帯が同居する住み方を思い浮かべるのではないでしょうか? ですが現在、一般的に言われている二世帯マンションとは、上記の一住戸同居に限らず、同じマンション内の異なる住戸に親世帯・子世帯が別々に住む、いわゆる「マンション内近居」という新しい暮らし方を指します。
では、そんな二世帯マンションには、具体的にどんな暮らし方があるのでしょうか。
二世帯マンションの暮らし方、代表的な4パターン
同じマンション内に別々に住むとはいっても、その暮らし方にはいくつかのパターンがあります。代表的な4つの例を紹介します。
〈1〉同じマンション内で、階が異なるパターン同じ時期に同じマンション内で各世帯がそれぞれの住戸を購入し入居するケース、あるいは、どちらかの世帯が住むマンションに空き住戸が出たタイミングで入居するケースがあります。
また、子世帯が住むマンションに親世帯を呼び寄せるケース、独立した子世帯の方が親世帯の住むマンションに移り住むケースもあります。
階が異なる住戸にそれぞれが住む暮らし方は、二世帯での距離感が一番離れているケースです。
〈2〉同じマンション内で、同じ階のパターン同じ階の二住戸に各世帯が住むというパターンです。異なる階に住むパターンに比べて同じ階に住む場合は、階段やエレベーターでの移動がない分、より住戸間の行き来がしやすくなります。異なる階に住む〈1〉よりも距離感が縮まります。
〈3〉同じマンション内で、住戸が隣り合っているパターン隣り合った住戸に各世帯が住むというパターンは、近居の中でも二世帯の距離が一番近い形です。戸建ての二世帯住宅(完全分離型)の場合、建物内に各世帯が行き来できるドアなどを設置するパターンが多いですが、マンションにおいては隣り合う2住戸の内部がつながる間取りを用意している物件は、数が限られています。
〈4〉マンション内の一住戸で、部屋がつながっているパターン上記の3つの二世帯近居のパターンと異なり、マンション内の一住戸に二世帯が同居するという暮らし方です。1人になった親を子世帯が呼び寄せて一緒に住むというパターンは少なくなく、一般的なファミリータイプの住戸でも二世帯同居は可能です。このケースでは、玄関や浴室・トイレなどの水まわりは共有になるため、それぞれの世帯が暮らしやすいような間取りの住戸を探したり、適宜リフォームを行うことが必要になったりする場合もあります。
最近では、〈4〉のような二世帯同居型の間取りプランを用意したり、メニュープランで二世帯同居型プランに変更できたりするなどの二世帯マンション向け物件が増えてきています。
二世帯マンションで暮らすメリットは?
親世帯と子世帯が同じマンションに住む二世帯マンションには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
子世帯のメリット:子育ての不安解消子世帯にとって親が近くに住むことで得られるメリットは、何よりも子育てをサポートしてもらえることでしょう。共働き世帯なら、保育園の送迎をはじめ小学生なら放課後の保育、また、発熱などで登園・通学ができない時の自宅保育など。学校関係に限らず、何か急な用事ができた場合も子どもを任せることができます。子どもにとってもおじいちゃんやおばあちゃんと一緒なら安心して時間を過ごせます。
さらに、旅行時にはペットを預ける、車などを共用で使うなどもメリットといえるでしょう。
親世帯のメリット:介護による支援親世帯は自分達の高齢化に伴い、生活においてさまざまな面で支えてもらうことができます。将来介護が必要になっても、子どもがそばにいてくれることで福祉サービスの手続きなどもスムーズに進められます。つかず離れずの距離で親をみることができるのは、子どもにとってもメリットです。
親が健康で自立した生活ができている間は、週末は一緒に夕食などを共にし、お互いの生活の報告や家族旅行の計画、孫のことでコミュニケーションを深めるなど、ファミリーとしての絆が深められます。
戸建ての二世帯住宅を建てるより予算が抑えられる親が広い土地を持っている場合などを除いて、都市部で戸建ての二世帯住宅を建てるには、かなりまとまった額の予算が必要です。マンションでは土地を区分所有者と共有するため、土地の費用が安く抑えられます。中古マンションも視野に入れると、都市部でも予算を低く抑えつつ二世帯で暮らせる可能性が高くなります。
1つの玄関で1物件の二世帯同居型タイプを購入する場合、ローン名義を親子にできれば、親が先に一定期間返済し、残った期間は子が返済するという方法が選択可能です。この親子リレーローンを利用することで、返済計画が立てやすくなります。親子リレーローンにより無理のない返済が実現すれば、一世帯での返済と比べて負担が少なくなるメリットがあります。
マンションならではの共用施設が使えるエントランスにオートロック、共用部に防犯カメラがあり、警備会社と連携した24時間セキュリティシステムが導入されているなど、高い防犯機能を備えたマンションが多く、戸建てより安心して住める点もメリットとして挙げられます。また、24時間いつでもゴミ出しができるゴミ置き場や応接コーナー、キッズルームなどの共用施設が整っているケースもあり、これらの施設を利用して快適な暮らしが享受できるでしょう。
一世帯になっても対応しやすい先述した〈1〉・〈2〉・〈3〉のパターンでは、親世帯・子世帯とも独立した異なる住戸になります。したがって各世帯間で一定の距離を置きたい場合は、〈1〉・〈2〉・〈3〉のパターンを選択するのがいいでしょう。
これらのパターンなら、どちらかの世帯がやむを得ず住宅を手放すことになった場合や親世帯が亡くなった場合でも、空いた住戸を賃貸住宅として貸し出す・売却するなど柔軟な対応ができます。
二世帯マンションのデメリットは?
今度は、二世帯マンションのデメリットについて見ていきましょう。
選べる住戸の選択肢が少ない新築分譲マンションの売り出し時期に異なる住戸を同時に購入するなら、希望住戸を購入できる可能性は大です。
ですが、どちらかの世帯が居住するマンションに移り住む場合、希望のタイミングで売り出されるとは限りません。特に、隣り合う住戸での二世帯近居を希望する場合は、すでに居住しているどちらかの世帯の隣の住戸が売り出される時期を待つ、または隣り合う2住戸を同時に購入できる物件を幅広く探す、など物件選びの期間が長くなってしまいがちです。
親世帯のローンが制限を受ける場合がある各世帯が住戸を購入するためにローンを組む場合、親世帯が高齢であればローンで借りられる金額に制限が生じる可能性が高くなります。子世帯が親世帯の住むマンション内に新たに住戸を購入する場合は心配不要ですが、親世帯が住戸を購入する場合は、資金計画を慎重に検討しましょう。
二世帯マンションの暮らし方で気を付けておきたいこと
二世帯マンションで親子二世帯で暮らす際、気を付けておきたいポイントを紹介しておきます。
生活リズムの確認、プライバシーの尊重親世帯と子世帯、どちらにもそれぞれの生活リズムや生活習慣があります。世代の違いで起床から就寝まで時間帯が異なることも。特に子育て中の子世帯は子どもを中心にした時間軸で1日が進むことが多く、親世帯と必ずしも同じではありません。
そして、親子とはいえお互いのプライバシー確保も必要です。新生活をスタートさせてから「生活のリズムなどが合わない」と後悔しないためにも、二世帯マンションでの暮らしを始める際には予めお互いの生活に関する決まり事を作っておくとスムーズに新生活に馴染めるでしょう。
親を遠方から呼ぶ際は、親に負担があることを知っておくたとえば、地方に住んでいる親を都市部に呼んで二世帯で同居する場合は、親世帯の負担をケアしてあげる必要があります。住み慣れた街を離れ知らない土地での生活を始めるとなると、誰でも不安になるものです。特に年齢を重ねてからの生活環境の変化は、大きなストレスの一因となることも。親が都市部での生活にある程度慣れるまで、子世帯は意識的なケアを心掛けてあげましょう。
最後に
今回は、二世帯マンションについてのメリットやデメリット、気を付けておきたいことなどを紹介してきました。
二世帯マンションは一戸建ての二世帯住宅よりも資金面で低く抑えられることが多く、親世帯と子世帯がお互いに支え合って暮らせる方法です。二世帯同居や近居を検討しているのであれば、二世帯マンションも選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
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