土地価格の調べ方6種類|価格の試算方法や価格を左右する要素についても解説

土地の価格を調べようとすると、公示地価や路線価、実勢価格など複数の数字が出てきます。どの数字を信用してよいのか迷うこともあるでしょう。同じ土地であっても指標によって金額は異なるため、目的に合った価格を選ばなければ、正確な相場をつかむことはできません。

この記事では、土地価格の種類とそれぞれの調べ方、公表されている価格から実勢価格の目安を試算する方法、価格を左右する要素について、順を追って解説します。


土地価格の6つの種類

土地の価格と一口にいっても、ひとつの土地に対して複数の評価額が存在します。公表する機関や算定の目的が異なるため、それぞれの数字にはずれが生じます。同じ商品でも、定価とセール価格、中古市場での相場が異なるように、土地にも複数の「値段」があると考えるとイメージしやすいでしょう。

まずは、代表的な6つの土地価格について、公表機関とあわせて整理しておきましょう。

【土地価格の6つの種類】

区分

土地価格の種類

公表機関

公的な指標

公示地価

国土交通省 土地鑑定委員会

公的な指標

基準地価

都道府県

税務上の価格

相続税路線価

国税庁

税務上の価格

固定資産税路線価

市区町村(東京23区は東京都)

税務上の価格

固定資産税評価額

市区町村(東京23区は東京都)

実際の取引価格

実勢価格

売り手と買い手の合意

表にある6つの土地価格は、算定する機関だけでなく、税金の計算や取引の目安といった使う場面もそれぞれ異なります。次の項目からは、公示地価を皮切りに、価格ごとの性質と押さえておきたいポイントを順番に見ていきましょう。

公示地価

公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の価格を判定し、3月に公表するものです。2名以上の不動産鑑定士による鑑定結果をもとに決定され、一般の土地取引や公共事業用地の取得価格を判断する際の目安として使われます。

実際の売買では、土地ごとの立地や形状などによって価格が変わりますが、公示地価はその土地固有の条件による価格差までは考慮していません。そのため、実際の取引価格とは異なる場合があります。

基準地価

基準地価は、各都道府県が国土利用計画法にもとづいて選定した基準地について、毎年7月1日時点の価格を判定し、9月ごろに公表するものです。

公示地価は都市計画区域を対象とするのに対し、基準地価は都市計画区域外の土地も対象に含まれます。公示地価から半年後の価格がわかるため、公示地価を補完する役割があります。

相続税路線価

相続税路線価は、相続税や贈与税を算定する際の基準となる価格です。国税庁が毎年1月1日時点の価格を評価し、7月に公表します。

主要な道路に面する土地について、道路ごとに1㎡あたりの価格が定められており、公示地価の8割程度が評価水準の目安とされています。単に「路線価」という場合、この相続税路線価を指すことが一般的です。

固定資産税路線価

固定資産税路線価は、固定資産税や都市計画税などの算定に使われる固定資産税評価額を求めるために、市区町村が定める土地の単価です。

公示地価の7割程度が評価水準の目安とされ、次に紹介する固定資産税評価額を算出するための基準となります。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、固定資産税をはじめ、都市計画税や不動産取得税、登録免許税などの税額を算出するための評価額です。原則として各市区町村が固定資産税路線価などをもとに個別に決定しますが、東京23区については東京都が算定を行います。3年に一度、評価替えが行われます。

評価にあたっては、固定資産税路線価に加えて土地の面積や形状、周辺の道路事情なども考慮されるため、同じ地域であっても土地ごとに評価額は異なります。毎年送付される課税明細書などで確認できます。

実勢価格

実勢価格とは、実際に土地の売買が成立した際の取引価格です。国や自治体が算定する公的価格とは異なり、需要と供給のバランスや立地条件、交渉の結果など、さまざまな要素が反映されます。

土地の売却や購入を検討する際にもっとも現実に近い価格ですが、土地の条件や売主・買主の事情、交渉などによって実際の取引価格は変わるため、事前に正確な金額を把握することは難しい価格でもあります。


【種類別】土地価格の調べ方

それぞれの土地価格は、公表している機関のサイトなどを使えば、誰でも調べることができます。
ここでは、価格ごとの具体的な調べ方を紹介します。

公示地価の調べ方

公示地価は、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」で確認できます。不動産情報ライブラリは、かつての「土地総合情報システム」を引き継ぐ形で2024年に運用が始まったサービスで、地図上から住所を指定するだけで、周辺の公示地価を視覚的に確認できます。

ただし、公示地価は標準地のみが対象です。調べたい土地そのものにデータがない場合は、近隣の標準地の価格を参考にしましょう。

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」

基準地価の調べ方
基準地価も、公示地価と同じ「不動産情報ライブラリ」で調べられます。地図検索から都道府県や市区町村を指定し、価格情報の項目から「都道府県地価調査」を選択すると、地図上に基準地が表示される仕組みです。公示地価のデータがないエリアでも、基準地価であれば確認できる場合があります。

公示地価と基準地価は、どちらも標準的な土地の価格を示す指標です。公示地価の公表から約6か月後に基準地価は公表されるため、両方のデータをあわせて確認することで、その年の地価の動きをより具体的に把握できます。

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」

相続税路線価の調べ方

相続税路線価は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。調べ方は、都道府県を選んだうえで路線価図を選択し、該当する市区町村や地名から目的のページを探すという方法です。

この内容は、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」でも同様に調べることができます。こちらは相続税路線価に加えて、固定資産税路線価や公示地価などをまとめて確認できる点が特徴です。

出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

路線価図の見方

路線価図には、道路上に「200D」のような表記が並んでいます。数字は1㎡あたりの価格を千円単位で示したもので、200であれば20万円が目安です。

アルファベットは借地権割合を示す記号です。AからGまであり、Aは借地権の割合が90%、Bは80%、Gは30%と、Gに近いほど割合が低くなります。借地に建物を建てている場合など、土地の権利関係によって評価の考え方が変わるため、相続税の計算をする際に確認しておくとよいでしょう。

固定資産税路線価の調べ方

固定資産税路線価は、相続税路線価と同じく「全国地価マップ」で確認できます。地図から該当エリアを選び、固定資産税路線価などの項目を表示することで、道路ごとの単価を確認する仕組みです。

市区町村(東京23区は東京都)の窓口でも、固定資産税路線価に関する資料の閲覧ができる場合があります。

出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額を確認するもっとも簡単な方法は、毎年4月から6月ごろに届く固定資産税の納税通知書です。
同封されている課税明細書に、土地や建物ごとの評価額が記載されています。

通知書が手元にない場合は、土地のある市区町村の窓口で、固定資産評価証明書の交付を申請する方法もあります。なお、東京23区の土地については、都税事務所が窓口となります。

自治体によって期間は異なりますが、毎年4月から5月ごろの一定期間、自分の土地と近隣の土地の評価額を見比べられる「縦覧」という制度も利用できます。土地の評価額が適正かどうかを確認する際の参考になります。


実勢価格の調べ方

実勢価格を調べる際は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」に掲載されている不動産取引価格情報が主な情報源になります。過去に行われた土地取引の取引総額や面積などを、都道府県や市区町村を指定して確認できる仕組みです。

あわせて「レインズ・マーケット・インフォメーション」も活用できます。戸建てやマンションの登録が中心のため、補助的な位置づけとして活用するとよいでしょう。

これらの情報は個別の物件が特定されない形で公開されているため、条件の近い取引事例をいくつか比較しながら、相場の幅を把握することが大切です。

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
出典:全国指定流通機構連絡協議会「レインズ・マーケット・インフォメーション」

ポータルサイトの掲載価格を見るときの注意点

不動産ポータルサイトでも、現在売り出し中の土地の価格を確認できます。

ただし、表示されているのは売主が設定した売り出し価格であり、実際に取引された価格とは異なる場合が少なくありません。値下げ交渉や市況の変化によって、最終的な取引価格が下がることもあれば、人気エリアでは複数の希望者による競合が生じ、価格が上がることもあります。

ポータルサイトの価格は現在の市場感をつかむひとつの材料として活用しつつ、実際に取引された価格や、周辺の取引事例とあわせて確認する視点を持っておきましょう。



調べた価格から土地価格の目安を試算する方法

公示地価を100とした場合の公的評価の水準を整理すると、次のようになります。

【公示地価を100とした公的評価の目安】

土地価格の種類

公示地価を100とした目安

主な用途

公示地価

100

一般の土地取引の指標

相続税路線価

約80

相続税・贈与税の算定

固定資産税評価額

約70

固定資産税などの算定

国土交通省によると、相続税路線価は公示地価の8割程度、固定資産税評価額は7割程度を評価水準としています。

ただし、これはあくまで制度上の評価水準であり、個別の土地の実勢価格をそのまま示すものではありません。実勢価格には決まった倍率がないことを前提に、ここでは公示地価の水準に近い概算額を試算する方法を紹介します。

出典:国土交通省「主な公的土地評価一覧」

路線価から土地価格の目安を試算する

相続税路線価は、1㎡あたりの単価を千円単位で示したものです。まず「路線価÷0.8」で公示地価に近い水準の概算単価を求め、それに土地の面積を掛けることで、土地全体のおおよその金額を計算できます。

ただし、実際の相続税評価額を求める際には、土地の奥行きに応じた「奥行価格補正(奥行価格補正率)」や、複数の道路に接する土地に適用される「側方路線影響加算(側方路線影響加算率)」などの補正が加わるため、この計算式で出た数字はあくまで簡易的な目安にとどまります。

なお、路線価が設定されていない「倍率地域」では「固定資産税評価額×評価倍率」という別の方法で評価額を求めます。

固定資産税評価額から土地価格の目安を試算する

固定資産税評価額から目安を求める場合は、課税明細書に記載されている「価格」の欄を使います。この欄が評価額にあたり、税額の計算に使われる「課税標準額」とは異なる点に注意しましょう。住宅用地には固定資産税を軽減する特例が設けられているため、両者の金額は一致しません。

「固定資産税評価額÷0.7」を計算すると、公示地価に近い水準の概算額が求められます。固定資産税評価額は3年に一度評価替えが行われるため、算出した金額と現在の市場価格との間にずれが生じる場合がある点もあわせて押さえておきましょう。

試算値と実際の売買価格が一致しない理由

路線価や固定資産税評価額から試算した金額は、あくまで公的な評価水準にもとづく目安であり、土地の形状や周辺環境といった個別の条件までは反映されていません。0.8や0.7という割り戻し率も全国的な傾向を示す目安にすぎず、地域によっては実際の水準と差が生じることもあります。

こうした個別要因の詳しい内容は、次の「土地価格を左右する要素」で解説します。最終的に正確な価格を把握するには、周辺の取引事例と現地の条件を踏まえた査定が欠かせません。


土地価格を調べる際の注意点

土地価格を調べる際は、数字だけを見るのではなく、その前提となる条件も理解しておくことが大切です。ここでは、とくに押さえておきたい5つの注意点を紹介します。

データが最新かどうか確認する

公示地価や基準地価は毎年調査・公表されますが、確認する時期によっては、最新の情報がまだ反映されていない場合があります。

不動産情報ライブラリなどのサイトでは、掲載されているデータがいつ時点のものかが明記されているため、閲覧の際はいつのデータなのかもあわせて確認すると安心です。

公表時期と基準日のずれに注意する

相続税路線価は毎年7月に国税庁から公表され、原則として毎年評価が見直されます。一方、固定資産税評価額や固定資産税路線価は、市区町村によって原則として3年に一度評価替えが行われます。

このため、比較する時期によっては、両者の価格時点に時間的なずれが生じることがあります。

標準地と対象地の条件の違いを確認する

公示地価や基準地価は、あらかじめ選ばれた標準地・基準地の価格です。調べたい土地とは、形状や道路との位置関係、面積などの条件が異なる場合が多いため、標準地の価格をそのまま自分の土地に当てはめず、あくまで相場を把握するための参考値として扱いましょう。

地域特性を考慮する

同じ都道府県や市区町村であっても、駅からの距離や周辺の開発状況によって、土地の価格は大きく異なります。公的な指標だけでなく、対象の土地が位置するエリア特有の事情もあわせて確認しておくとよいでしょう。

複数の情報源を比較する

ひとつの指標だけで判断すると、実態とかけ離れた価格を基準にしてしまう可能性があります。公示地価や基準地価、実勢価格など、複数の情報源を突き合わせながら確認することで、より現実的な相場感をつかみやすくなります。


土地価格を左右する要素

同じエリアであっても、土地ごとに価格が異なるのは、複数の要素が組み合わさって評価が決まるためです。なかでも、土地の面積や形状は代表的な要素です。

正方形や長方形などの整形地は建物を配置しやすく需要が高くなる一方、旗竿地(道路から細い通路でつながっている土地)や極端な変形地は建築の制約を受けやすく、評価が下がりやすい傾向にあります。

道路との位置関係も重要な判断材料です。建築基準法では、建物を建てる敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していることが原則とされています。この条件を満たさない土地は建築が制限されるため、評価が下がります。一方、角地や複数の道路に面した土地は、日当たりや利便性の面で評価されやすい傾向があります。

また、周辺環境、最寄り駅までの距離なども価格に反映されます。さらに見落としやすいのが、地域による市場動向の差です。人気の高い中古車が定価を上回る価格で取引されることがあるように、土地も需要の高いエリアでは公的な評価額を超える価格で取引されることがあります。

実際に、需要の高い都市部では公示地価の1.5倍から2倍近くまで実勢価格が上振れすることがある一方、地方では公示地価を下回る水準で取引されるケースも見られます。同じ計算式を当てはめても、地域によって導かれる実勢価格の精度は変わってくることを理解しておきましょう。


まとめ

土地価格には、公示地価や基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価、固定資産税評価額、実勢価格という6つの指標があり、それぞれ算定する機関や目的が異なります。

公的なデータから概算額を試算することはできますが、実際の売買価格は、土地の形状や接道状況、周辺環境など個別の条件によって変わります。公表されている数字はあくまで目安としてとらえましょう。

より正確な価格を把握し、納得のいく売却や購入につなげたい場合は、地域の取引事情に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。日住サービスは、関西エリアに密着した知見と実績をもとに、土地の個別条件を踏まえた丁寧な査定をご提供しています。気になる方は、ぜひご相談ください。

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