【オーナー向け】家賃滞納の相談はどこがいい?選択肢や対応の流れを解説


賃貸経営において、家賃滞納は賃貸経営のリスクのひとつです。入居者との連絡が途絶え、督促に応じない場合、どこに相談すべきか迷うことがあります。

誤った対応をすると、法的トラブルや未回収リスクが高まります。とくに自主管理をしている物件では、初動対応の遅れが致命的な損失につながることも少なくありません。

本記事では、家賃滞納時の相談先と、滞納から明け渡しまでの流れを解説します。法的リスクを避けながら、できるだけ早く問題を解決するための手順を押さえていきましょう。


家賃を滞納されたらどこに相談すればいい?

家賃滞納が発生した際、まず知っておくべきは「相談先によって対応範囲が異なる」という点です。契約状況や滞納の程度に応じて、適切な窓口を選ぶことが早期解決の鍵となります。

ここでは、家賃滞納時に頼れる主な相談先を紹介します。以下の役割や対応範囲を理解し、自身の状況に合った窓口を選びましょう。

●不動産管理会社(初期対応が得意、督促や連絡調整)
●家賃保証会社(滞納家賃の立て替え、回収のサポート)
●公益社団法人全国賃貸住宅経営協会(業界の実務的なアドバイス)
●弁護士・司法書士(法的措置や訴訟、強制執行)


不動産管理会社

物件の管理を不動産管理会社に委託している場合、家賃の督促や入居者との連絡は管理会社の業務に含まれます。日頃から入居者と接点があるため、状況を把握しやすく、初期対応をスムーズに進めてくれるでしょう。

ただし、管理会社の対応範囲は以下のとおりです。

●督促や連絡調整までが一般的な対応範囲
●法律上、債権回収業務(報酬を得ての回収)は弁護士法第72条で禁じられている

これを非弁行為といい、管理会社が行えるのは、支払いの督促や入居者との円満な解決に向けた事務的な補助にとどまります。内容証明郵便の送付や訴訟といった法的措置が必要になった段階では、弁護士に依頼する必要があります。

委託契約の内容を事前に確認し、どこまで対応してくれるのかを明確にしておきましょう。

家賃保証会社

賃貸契約で家賃保証に加入している場合、入居者が滞納した家賃を保証会社が立て替え払い(代位弁済)してくれます。その後、保証会社が入居者への督促や回収を行うため、オーナーの手間を大幅に軽減できます。

家賃保証会社の最大のメリットは、キャッシュフローを安定させられる点です。

●滞納が発生しても保証会社から家賃が支払われる
●ローン返済や修繕費の支払いに影響が出にくい

ただし、保証範囲は契約内容によって異なります。明け渡し訴訟などの法的手続きの費用は、保証会社の契約内容によっては対象外となるケースが多いです。

保証会社を利用していない物件で滞納が発生している場合は、今後の入居審査時に保証会社の利用を必須にすることも検討しましょう。

公益社団法人全国賃貸住宅経営協会

公益社団法人全国賃貸住宅経営協会は、全国対応の無料相談窓口を設けています。電話相談には、住宅経営士・公認会計士・税理士が対応しています。対応範囲は以下のとおりです。

●家賃滞納
●立ち退き
●敷金トラブル
●入居者の選び方
●税務問題など

このように、賃貸経営全般について相談できます。商習慣にもとづいたアドバイスがもらえるため、業界の実務的な視点から解決策を探ることが可能です。ただし、回収そのものを依頼することはできませんので、あくまで情報収集や方針決定の参考として活用しましょう。

公益社団法人東京共同住宅協会

公益社団法人東京共同住宅協会は、首都圏のオーナー向けに無料の電話相談窓口を提供しています。家賃滞納をはじめとした入居者とのトラブルや、不動産の運営方法について相談できます。

セミナーや勉強会も定期的に開催されており、良質な入居者を増やす方法、空室対策、不動産業界の現状など、賃貸経営のノウハウを学べる機会も豊富です。

東京都内や近郊で賃貸経営をしている方にとっては、地域の実情に即したアドバイスが得られる貴重な相談先といえるでしょう。

一般社団法人大阪府宅地建物取引業協会

一般社団法人 大阪府宅地建物取引業協会(大阪府宅建協会)は、関西エリア(主に大阪)のオーナーや入居者に向けて、不動産に関する無料相談窓口を設けています。

賃貸借契約の考え方や、管理会社・仲介会社とのやり取りで迷ったときなど「まず状況を整理したい」段階の相談先として使いやすいのが特徴です。

無料相談は本部だけでなく、府内の各支部でも実施されています。物件所在地に近い支部へ相談できるため、地域の実情に合わせたアドバイスを得やすい点もメリットです。

弁護士・司法書士

入居者との交渉が難航し、契約解除や建物明け渡し請求といった法的措置を検討するなら、弁護士・司法書士への相談が不可欠です。

弁護士は、オーナーの代理人として以下が行えます。
●入居者との交渉
●訴訟
●強制執行

法的な手続きのすべてを一任できます。法律の専門家が介入することで、迅速かつ法的に正当な手続きで解決を図ることが可能です。

司法書士は、140万円以下の簡易裁判所案件に限り代理業務を行えます。少額の滞納であれば、弁護士よりも費用を抑えられる場合があります。

ただし、家賃滞納には時効があるため、できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。放置すれば、時効が完成して回収できなくなる恐れがあります。

法テラス

法テラスは、一定の収入基準を満たす方を対象に、無料の法律相談や弁護士の紹介を行っている公的機関です。経済的な不安がある場合の相談窓口として活用できます。

ただし、年収2,000万円の会社経営者の場合、収入基準を超えるため、無料相談の対象にならない可能性が高いでしょう。

法テラスは制度の概要を知る窓口としては有用ですが、高所得者の場合は、民間の弁護士に直接相談するほうがスムーズに進むケースが多いといえます。


家賃滞納から督促・部屋の明け渡しまでの流れ

家賃滞納が発生してから、最終的に部屋を明け渡してもらうまでには、法律に則った段階的な手続きが必要です。誤った対応をすると、オーナー側が不利になる恐れがあるため、正しい流れを理解しておくことが重要です。

ここでは、滞納発覚から解決にいたる一連の手続きを、以下のように時系列で解説します。

1.入居者に電話や口頭で支払い状況を確認する
2.家賃支払いの督促状を送付する
3.保証人に家賃滞納の連絡をする
4.内容証明郵便で督促状を送る
5.賃貸借契約の解除手続きに移る
6.不動産明渡請求訴訟を起こす

1:入居者に電話や口頭で支払い状況を確認する

家賃の支払期日を過ぎても入金が確認できない場合、まずは入居者に電話や直接訪問で支払い状況を確認しましょう。この段階では、威圧的な態度は避け、事務的な確認に徹することが大切です。

単なる支払い忘れや、振込手続きの遅れといった一時的なミスの可能性もあります。連絡がつけば、いつまでに支払えるのか、分割払いは可能かなど、具体的な話し合いができるでしょう。

初動対応は支払期日の翌日から1週間以内に行うのが理想的です。早ければ早いほど、入居者の支払い意欲が低下する前に解決できる可能性が高まります。

2:家賃支払いの督促状を送付する

電話で解決しない場合は、普通郵便で督促状を送付します。督促状には、滞納の事実と支払い期限を明記し、文書で記録に残すことが目的です。

督促状に記載すべき必須項目は、以下のとおりです。

●滞納している家賃の金額
●滞納が発生した期間
●支払い期限(通常は1〜2週間後を目安)
●振込先の口座情報
●連絡先

この段階では、まだ法的措置を予告する必要はありません。あくまで「支払いを促す」という姿勢で、丁寧な文面を心がけましょう。

3:保証人に家賃滞納の連絡をする

入居者本人と連絡が取れない場合は、速やかに連帯保証人に連絡しましょう。連帯保証人には、入居者が支払いを怠った場合に代わって支払う義務があります。

民法改正により、2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約では、連帯保証人が負担する上限額(極度額)を定めることが義務づけられました。極度額の範囲内で、保証人に支払いを求めることができます。

連帯保証人に連絡する際は、滞納の経緯や金額、今後の対応について丁寧に説明し、協力を仰ぎましょう。

4:内容証明郵便で督促状を送る

督促状を送っても支払いがない場合、内容証明郵便で督促状を送ります。内容証明郵便は、郵便局が「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を証明してくれる制度です。

この段階では、法的措置を予告する最後通牒としての意味合いが強くなります。たとえば「○月○日までに支払いがない場合、賃貸借契約の解除および法的措置を検討します」といった文言を記載することで、入居者に強い圧力をかけることができます。

内容証明郵便は、後の裁判で「支払いを求めたこと」を証明する重要な証拠となります。必ず控えを保管しておきましょう。

なお、この段階で送る内容証明郵便は、あくまで「支払督促」が目的です。次の段階で送る「契約解除通知」とは役割が異なります。

5:賃貸借契約解除の手続きに移る
滞納が3か月以上続き、入居者との信頼関係が破壊されたと判断できる場合、賃貸借契約の解除に向けて手続きを進めます。

契約解除には、法律上の正当な理由が必要です。単に家賃を滞納しているだけでなく、「貸主と借主の信頼関係が破壊された」と認められる事情が求められます。

一般的には、3か月以上の滞納が信頼関係破壊の目安とされていますが、支払い意思の有無や過去の履歴なども総合的に考慮されます。

5-1:内容証明郵便で契約解除を通知する
契約解除を行う際は、内容証明郵便で「催告兼契約解除通知」を送ります。

この通知には以下を記載します。
●○月○日までに滞納家賃を支払わなければ、契約を解除する旨
●期限までに支払いがない場合、契約は自動的に解除される旨

通知が入居者に到達した時点で、契約解除の効力が発生します。ただし、入居者が任意に退去しない場合は、次の法的手続きに進む必要があります。

5-2:入居者が行方不明の場合には簡易裁判所に契約解除を申し立てる

入居者が行方不明になり、内容証明郵便が届かない場合は、簡易裁判所に契約解除の申し立てを行います。

この手続きでは、公示送達という方法を利用します。公示送達とは、裁判所の掲示板に一定期間書類を掲示することで、相手に通知したとみなす制度です。

入居者が不在であっても、公示送達を経ることで契約解除を有効にすることができます。ただし、公示送達には時間がかかるため、早めに弁護士に相談して手続きを進めることが大切です。

6:不動産明渡請求訴訟を起こす

契約を解除しても入居者が任意に退去しない場合、裁判所に不動産明渡請求訴訟を提起します。訴訟では、家賃滞納の事実や信頼関係の破壊を立証し、建物の明け渡しを求めます。

訴訟には通常3〜6か月程度かかります。判決が確定すれば、強制執行の手続きに移ることができます。

強制執行では、裁判所の執行官が現地に赴き、入居者の荷物を搬出して物件を空にします。この段階まで進むと、滞納発生から5〜7か月程度が経過していることも珍しくありません。

訴訟や強制執行には、裁判所費用や執行官への費用、業者への搬出費用など、50〜100万円程度の費用がかかる場合があります。これらの費用は、法律上は入居者に請求できますが、実際に回収できるケースは少ないのが実情です。


家賃滞納トラブルでやってはいけないこと

家賃を滞納されている状況では、感情的になりがちです。しかし、いかなる理由があっても、法律で認められていない自力救済行為をしてはいけません。

行き過ぎた行為をすると、逆にオーナー側が罪に問われる可能性があります。以下は、法的に問題になる行為です。

●無断で部屋に立ち入る(住居侵入罪)
●無断でカギを交換する(器物損壊罪)
●無断で家財を処分する(窃盗罪)
●常識の範囲を超えた督促を行う(脅迫罪、強要罪、恐喝罪)


無断で部屋に立ち入る

たとえ安否確認や状況確認のためであっても、入居者の許可なく合鍵で部屋に入ることはできません。無断で立ち入ると、刑法第130条の住居侵入罪にあたります。

住居侵入罪は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される犯罪です。入居者が不在で安否が心配な場合でも、まずは警察に相談し、同行してもらうなど、正当な手順を踏むことが大切です。

無断でカギを交換する

家賃滞納を理由に、入居者が部屋に入れないようにカギを交換する行為も違法です。刑法第261条の器物損壊罪にあたり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科される可能性があります。

また、入居者の居住権を侵害する不法行為として、損害賠償請求を受ける恐れもあります。契約書に「滞納時にはカギを交換できる」といった特約があったとしても、無効とされるケースがほとんどです。

無断で家財を処分する

滞納家賃の代わりにテレビや家具を勝手に持ち出す行為は、刑法第235条の窃盗罪に該当します。窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される重い犯罪です。

家財の処分は、法的な強制執行手続きを経なければなりません。たとえ入居者が不在であっても、所有権を侵害する自力救済は認められません。

常識の範囲を超えた督促を行う

夜間や朝(20時〜翌7時)に電話や訪問をする、勤務先に何度も連絡する、大声で怒鳴るといった行為は、刑法第222条の脅迫罪、第223条の強要罪、第249条の恐喝罪に該当する恐れがあります。

督促は、常識的な時間帯(平日の日中)に、丁寧な言葉遣いで行うことが原則です。感情的になって行き過ぎた督促をすると、オーナー側が加害者になってしまうため、冷静な対応を心がけましょう。

【家賃滞納の相談でやってはいけないことまとめ】

行為

罰則

無断で部屋に入る

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

無断でカギを交換する

3年以下の懲役または30万円以下の罰金

無断で家財を処分する

10年以下の懲役または50万円以下の罰金

常識の範囲を超えた督促

脅迫罪、強要罪、恐喝罪

家賃滞納の相談でよくある質問

ここでは、家賃滞納についてオーナーからよく寄せられる質問に回答します。疑問を解消し、適切な対応につなげましょう。

どのタイミングで専門家に相談すべき?

滞納2か月目での相談開始を推奨します。3か月目にスムーズに契約解除通知を送れる体制を整えるためです。

実務上、賃貸借契約の解除が認められる目安は、3か月以上の滞納とされています。滞納2か月の段階で弁護士に相談しておけば、3か月目に入った時点で速やかに内容証明郵便を送り、法的措置に移ることができます。

早めに専門家の助言を受けることで、損失を最小化し、経営リスクを回避できます。

家賃の請求権に時効はある?

家賃の請求権には時効があります。2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約では、民法第166条により、権利を行使できることを知った時から5年間で時効が完成します。

家賃は毎月の支払日が決まっているため、実務上は「支払日の翌日から5年」で時効にかかると考えてよいでしょう。

時効を止めるには、債務の承認(入居者が支払いを約束する、一部でも支払う)や、裁判上の請求(訴訟提起)などの手続きが必要です。放置すれば時効が完成し、回収できなくなる恐れがあるため、早めに行動することが重要です。


滞納したまま引越しや夜逃げをされた場合はどうすればいい?

入居者が荷物を残したまま行方不明になった場合でも、勝手に荷物を処分することはできません。まずは連帯保証人に連絡し、状況を確認・相談することが大切です。

解決しない場合は、訴訟を経て法的に明け渡しを進めましょう。裁判所の許可を得て強制執行により室内の荷物を搬出し、物件を空の状態に戻します。

また、住民票を追跡したり、公示送達を利用して契約解除を進めたりする方法もあります。いずれにしても、諦めずに資産を正常化させる手順を踏むことが重要です。専門家に相談し、適切な手続きを進めましょう。


まとめ

家賃滞納の初期対応が重要です。放置すると未回収額が増え、入居者との関係が悪化し解決が難しくなります。

本記事で解説したように、滞納が発生したらまず電話や督促状で支払いを促し、それでも解決しない場合は内容証明郵便を送付します。滞納が3か月以上続く場合、契約解除や訴訟などの法的措置を検討する必要があります。

自力救済は法律で禁じられており、無断で立ち入る、カギを交換する、家財を処分する行為は犯罪行為となります。オーナーは法的手続きを遵守することが重要です。

滞納リスクを減らすためには、家賃保証会社の活用や信頼できる管理会社への委託が有効です。特に複数の物件を所有している場合、個人での対応には限界があります。

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