リバースモーゲージとリースバック、どっちがお得?


2020年頃、ひとたび話題となった「老後資金2000万円問題」のほとぼりは冷めてきた(?)ものの、昨今の物価高騰が老後の生活に影を落とします。
今回は、持ち家に住む人が老後の生活資金を捻出する手段として取り上げられることの多い「リバースモーゲージ」と「リースバック」について考えます。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」



リバースモーゲージとは、55歳以上や60歳以上といったシニア世代向けのローンです。

自宅(主に土地付き一戸建て)を担保に銀行などの金融機関からお金を借り、契約者の死亡か契約満期時に担保にした自宅を売却することで一括返済ができるという仕組みです。

借入金の使途が「自宅のリフォーム」や「高齢者向け住宅の入居一時金」などに限定されている商品もありますが、限定のないタイプもあります。限定がなければ、日常の生活資金や旅行代金など自由に利用できます。また毎月の支払いは利息分だけのタイプ、もしくは利息が借入金の残高に組み込まれ、毎月の支払いが無いタイプがあります。


「自宅に住み続けられる」+「まとまったお金」



リバースモーゲージの一番のメリットは、まとまったお金が必要という悩みを解決しつつ、自分達が生きている間は自宅を売却せずにそのまま暮らし続けることができる点。

契約者本人や契約を引き継いだ配偶者が亡くなった後、担保に入っていた自宅を売却して融資の一括返済に充てるわけですが、相続人がその残債を返済すれば売却せず自宅を引き継ぐことも可能です。また、売却額が残債を上回った場合は、相続人は残債との差額を受け取ることができます。


「低い融資限度額」+「金利変動リスク」



もちろん、メリットだけではありません。リバースモーゲージの融資限度額は、物件価値の50%〜60%程度に設定されることが多く、期待したほどの融資が受けられない可能性があります。たとえば、売却した場合の評価額が5,000万円だとしても融資を受けられるのは2,500万円〜3,000万円程度ということになります。

また、リバースモーゲージの融資金利は変動金利が使われているものが多く、金利が上昇すれば毎月の返済額がふくらむ可能性があります。さらに将来、不動産の価値が下落して融資限度額が途中で引き下げられることもあります。
金利が上昇したり、売却時に価格が下落したりで売却後も残債が残ってしまう場合に備えて、「ノンリコース(非遡及)型」という商品を選択することもできます。ノンリコース型なら、担保物件の売却代金が残債に満たなくても、相続人に返済義務が生じることはありません。ただし、相続人に返済義務が残る「リコース(遡及)型」と比べて、融資限度額が低めに設定される傾向があり、金利も高くなります。


自宅を売却して賃借で住み続ける「リースバック」



リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家などの事業者に売却して現金を得ると同時に、その売却先から自宅を賃借する形で住み続けることができる「不動産売却方法」です。
売却してしまうので所有権はなくなりますが、将来的に買い戻して再び自分のものにできる可能性はあります。
ただし、取引内容の複雑さからトラブルが発生しやすい面もあります。


「使途自由」+「年齢制限なし」



リースバックなら不動産の売却代金が入り、その使途は自由です。
その金額は、一般的な売却で得られる金額の60%〜80%程度になるといわれています。ですが、リバースモーゲージと比べるとリースバックの方が若干高額になるようです。
所有権が事業者に移転するので、固定資産税等を支払う必要はなくなります。利用の年齢制限はなく、土地付きの戸建てだけでなくマンションも対象になるなど制限の多いリバースモーゲージより利用しやすいといえます。


「家賃値上げ」+「立ち退き要求」



リースバックの家賃は、物件の売却価格と事業者が設定する賃料の期待利回り、固定資産税や物件メンテナンスの費用等によって決まります。
一般的な年間賃料の相場は、売却価格の10%前後とされています。仮に売却価格が3,000万円とすると、年間賃料は300万円、つまり月額25万円の家賃を支払い続けることになります。
また、売却価格の10%が賃料ということは10年間住み続けると賃料で売買代金を使い切る計算になります。

家賃を払って住み続けられるとはいえ、その条件が永久に保証されているわけでもありません。リースバックの賃貸契約期間は3年~10年に設定されるケースが多いようですが、更新の際には家賃が上がったり、立ち退きを要求されたりすることもあるようです。


最後に



リバースモーゲージとリースバックは、自宅に「住み続けている」状態は同じ。でも、リバースモーゲージは「金融機関の担保に入っているが自分が所有する住宅に住んでいる」、リースバックは「不動産会社等の所有になった住宅に家賃を払って住んでいる」という違いがあります。
いずれも、比較的容易にまとまったお金を手にでき、老後の生活資金確保の有力な選択肢になり得ますが、不動産を通常の方法で売却した方が売却価格が高額になるのは間違いありません。
「住み慣れた家に住み続けたい」という思いを優先するなら利用価値はありますが、普通に住み替えを検討するのが「お得」なのかもしれません。

株式会社日住サービス

株式会社日住サービス

日住サービスは大阪・兵庫・京都の不動産探しのお手伝
いをしている総合不動産企業です。不動産に関するあら
ゆるご相談を承っております。