マンションの地震対策
日本は地震大国と言われるように、昔から大きな地震に見舞われ甚大な被害を受けながらも、その都度、対策を講じてきた歴史があります。現在も地震への関心は高く、新築マンションや戸建てには、しっかりとした地震対策が施されています。マンションの購入や住み替えをする機会に、建物の耐震性能や具体的な地震対策について、改めて確認しておくとよいでしょう。
今回は、マンションの耐震構造や地震対策についてみていきましょう。
耐震性能に優れたマンションって?
「耐震性能に優れたマンションかどうか」を見極める大きなポイントは、その建てられたマンションが「新耐震基準」によるのか、それとも「旧耐震基準」によるのかということです。
1981年に建築基準法が大幅に改正され、それ以前の旧耐震基準より、さらに厳しい基準の耐震性を求めた新耐震基準が設定されました。旧耐震基準では、「震度5程度の地震で倒壊しないこと」が基準のひとつでしたが、新耐震基準では、「震度6強から7に達する大規模地震で倒壊・崩壊しないこと」「震度5強程度の中規模地震ではほとんど損傷しないこと」が基準となりました。
(参考 国土交通省 //www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html )建物の構造をみる。「耐震構造」「制震構造」「免震構造」
建物の構造の視点から、地震対策をみていきましょう。
「耐震構造」は柱や梁、壁などを太く堅固に造り、建物構造の強度を高め、地震の揺れに耐えられるようにした構造です。マンションやビルなどの大型建築物だけでなく、一般的な戸建住宅にも使われている基本的な地震対策の構造です。
「制震構造」は建物の骨組みに制震装置(ダンパー)を設置し、地震のエネルギーを吸収し建物に対する衝撃を小さくする構造です。
しなりながら揺れを軽減させる構造ということです。
「免震構造」は、建物基礎と地面の間に隙間を作り、その間に設置した免震装置で建物を支えることで、地面の振動が建物に伝わらないようにする構造です。
上記の3つの構造には、建築時のコストや耐震安全性、メンテナンスなどの維持管理などそれぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、横方向の地震に強い「免震構造」は、コストが高く、風に弱いという特徴があります。「耐震構造」は、コストは安価ですが、揺れそのものが激しく、地震後のメンテナンス費用や時間が必要になります。そして、「制震構造」がこれら2つの中間あたりになります。
地震への備え
マンションは、現在の耐震基準に照らし合わせると、いきなり倒壊する可能性は低いといえるでしょう。ですが、倒壊を免れても、様々な問題が生じます。戸建て住宅でも停電や断水が起こりますが、マンションでも「ライフラインの遮断」「エレベーターが使用不可」になることは容易に想像できます。
ライフラインが遮断され、水や電気・ガスが使えなくなったら、どうしたらいいのか。また、エレベーターは大きな揺れを検知すると最寄り階に自動的に止まり、それ以降は階段利用となります。タワーマンションなどは非常用エレベーターがありますが、多くの住民が利用するために順番待ちも起こり、避難に時間がかかってしまう場合も。
実際の地震時に慌てずに対応するためには、日頃からの準備と心掛けが必要と言えそうです。
具体的な地震への備え
地震への備えとして主なものは、
- 非常時のための水・食糧・生活必需品の用意
- 電池式携帯ラジオ・懐中電灯
- 非常用持ち出し袋の用意
- 家具の固定
- マンション内の避難経路や避難場所の確認、および一時・広域避難場所や指定避難所などを確認し、家族で情報を共有
などが挙げられます。
大型スーパーなどでは、防災グッズコーナーを設けて、非常時に必要な生活用品が一通りセットで入った持ち出し袋などを販売していますが、足りない物をご自身の判断で揃えておくといいでしょう。
なお、非常食にも消費期限がありますので、ときどきチェックし忘れず入れ替えをしましょう。
また、マンション上層階の場合は、揺れが大きく長時間にわたる場合もあるので、家具倒壊による負傷に遭わないためにも、家具の固定は大切です。
地震が起こったら
まず、机の下に身を隠すなど安全の確保が最優先です。
次に、火元や電源の確認。最近のほとんどのガス設備では、強い地震の揺れで自動的にガスの火が消えるシステムになっています。揺れている最中には無理に火を消す必要はなく、揺れが収まるのを待ってからガス栓を閉めます。
自宅を出て屋外へ避難する前には、必ずブレーカーを落とします。地震によって停電になったマンションにも、いずれは電力供給が再開します。ブレーカーを落としておかないと、電力供給再開時に地震発生前にONになっていた電気器具類が再稼働し、可燃物に引火し通電火災につながる可能性もあるからです。
最後に
マンションの耐震性能は物件選びをする際の条件項目に入りますが、住んでからの地震への備えは、物品にしろ、避難場所の確認にしろ、自らが意識的に備えるものです。管理組合が主体となって実施する防災訓練があれば、参加してみるといいでしょう。「備えあれば憂いなし」ということわざにもあるように、万一の事態に日頃から備えましょう。
また、地震では通信が途絶えることもあります。緊急連絡先の電話番号を書いた紙を持っておくことや、被災時の集合場所を家族で決めておくことも良いかもしれませんね。
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