任意売却を離婚時に選ぶべきケースとは?メリット・デメリットや注意点を解説

離婚時に住宅ローンが残っている場合、売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」状態になることがあります。オーバーローンとは、売却価格がローンの残高を下回り、ローンが完済できない状態のことです。

このような場合、通常の方法で売却を進めることが難しくなります。ローンが完済できないと抵当権を抹消できず、不動産をスムーズに売却することができないためです。

そんな状況で有効な解決策となるのが「任意売却」です。任意売却とは、金融機関の同意を得ることで、オーバーローン状態でも不動産を売却できる方法です。

ただし、任意売却にはメリットだけでなく、あらかじめ知っておきたいデメリットや注意すべき点も存在します。

本記事では、離婚時に任意売却を検討すべきケースや、そのメリット・デメリット、実際に進める際の注意点を詳しく解説します。

離婚と不動産の問題でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。


そもそも任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンの残債が売却価格を上回る状態でも、金融機関の同意を得て不動産を売却する方法です。

通常、住宅ローが残っている不動産には抵当権が設定されており、抵当権はローンが完済されるまで抹消できません。抵当権が設定されたままだと、買主は安心して購入できません。

そのため、ローンを完済できないオーバーローン状態では、原則として売却を進めることが難しくなってしまいます。

しかし、任意売却では専門家が金融機関と交渉し、売却後に残る債務の支払い方法を協議することで、抵当権を解除してもらいます。売却後の残債については、その後の生活に支障が出ないよう、無理のない範囲で分割返済することが一般的です。

この方法は、通常の不動産売却と同じ流れで進められるため、周囲に事情を知られる心配が少なく、市場相場に近い価格で売却できる可能性があります。


任意売却をした方がよいケース

離婚時に任意売却を選択することで、状況が好転しやすいのは主に以下の2つのケースです。

住宅ローンの返済が難しい場合

離婚後に世帯収入が変化すると、これまでのローン返済が大きな負担になることがあります。とくに養育費や新生活の費用が重なると、経済的な余裕がなくなってしまうかもしれません。

住宅ローンの返済が滞ると、金融機関から督促状が届きます。滞納が続くと、3〜6か月程度で残債の一括返済を求められ、それに応じられない場合は競売にかけられることになります。

競売では市場価格の6〜7割程度でしか売却できず、残債が大きく残るリスクが高まります。そのため、離婚後の新生活を安定させるためにも、返済が難しくなる前に任意売却を検討することをおすすめします。

連帯保証人から外れたい場合

住宅ローンを組む際に、夫婦のどちらかが主債務者となり、もう一方が連帯保証人を引き受けているケースは少なくありません。

ここで注意が必要なのは、離婚したからといって連帯保証人としての責任が自動的に消滅することはないという点です。離婚届を提出して籍を抜いた後でも、法律上の返済義務は以前と変わらず残ったままとなります。

万が一、主債務者である元配偶者がローンの返済を滞らせた場合、連帯保証人はたとえ別居していても全額の返済義務を負うことになります。

離婚後に相手方と連絡が取れなくなったり、相手の経済状況が悪化したりした際、突然ご自身のもとへ多額の請求が届くというリスクを抱え続けることになります。

連帯保証人は、一般的な保証人とは異なり、債務者と同等の重い責任を負うため、金融機関はどちらに対しても請求を行う権利を持っています。そのため、離婚後もこうした経済的なリスクを放置しておくのは得策ではありません。

任意売却を通じて不動産を売却し、残債を整理することは、連帯保証人としての重圧から解放され、将来の安心を確保するための重要な第一歩となります。

完全に責任を解消するには金融機関との詳細な交渉が必要となりますが、任意売却はそのための最も現実的な手段といえるでしょう。


任意売却が最適ではないケース

任意売却は非常に有効な解決手段ですが、すべてのケースにおいて最適であるとは限りません。以下のような状況に当てはまる場合は、任意売却以外の方法を優先的に検討したほうがよいことがあります。

アンダーローンの場合

住宅ローンの残債が売却価格を下回る「アンダーローン」の状態であれば、通常の売却手続きを進めることが可能です。

この場合、売却代金によってローンをすべて完済できるため、残った金額を財産分与として夫婦で分け合うことができます。

アンダーローンの状況では、あえて任意売却を選ぶ必要はありません。任意売却は、一定期間ローンを滞納していることが前提となる手続きであり、それによって信用情報に影響が出るため、無理にそのリスクを負う必要はないのです。

通常の売却であれば、滞納することなくスムーズに手続きを終えられ、信用情報に傷がつく心配も一切ありません。

まずは信頼できる不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価値とローンの残り、どちらが多いのかを冷静に比較してみることが大切です。アンダーローンであることが確認できれば、安心して通常の売却手続きへと進むことができます。

ローンを組んでからの期間が短い場合

住宅ローンを組んでから3年以内など、経過期間が短い場合には、金融機関が任意売却の申し出を認めない可能性があります。

ローンを組んでから間もない時期に返済が困難になるという状況は、金融機関から見ると不自然に映ることがあり、場合によっては慎重な判断を求められるため、任意売却の承諾を得るハードルが高くなってしまうのです。

もしローンを組んでから日が浅い段階で返済が厳しくなってしまった場合は、まず借入先の金融機関に相談を行い、返済計画の見直しや条件の変更など、ほかの選択肢から探っていくことをおすすめします。

複数の債権者がいる場合

住宅ローン以外にも、カードローンや消費者金融など複数の借入があり、それぞれに異なる債権者が存在している場合は、任意売却の難易度が大きく上がります。

任意売却を成立させるためには、すべての債権者から同意を得る必要があります。また、売却代金の配分についても債権者間で調整が必要です。1人でも反対する債権者がいれば、任意売却は成立しません。

このような複雑な状況にある場合は、不動産会社だけでなく債務整理全般に詳しい弁護士や司法書士といった専門家と連携し、総合的な解決策を慎重に検討していくことが重要です。


離婚時に住宅を任意売却するメリット

離婚という大きな決断の際に、任意売却という選択肢を知っておくことで、次のようなメリットを得ることができます。

競売より高く売れる

住宅ローンの返済が滞り、そのまま競売にかけられた場合、売却価格は市場価格の6〜7割程度にとどまってしまうのが一般的です。一方で、任意売却であれば、通常の不動産仲介と同じ流れで進められるため、市場価格に近い価格、場合によっては80〜90%程度で売却できる可能性があります。

売却価格を少しでも高く設定できれば、その分だけ手元に残る借金の額を減らすことができます。離婚後の新生活に向けて経済的な負担を軽減するためには、競売ではなく任意売却を選ぶことが賢明です。

周囲に知られずに売却できる

もし競売になってしまうと、裁判所のウェブサイトや競売物件の専門サイトに、ご自宅の住所や外観写真といった詳細な情報が公開されてしまいます。これにより、近隣にお住まいの方や知人に、デリケートな事情を知られてしまうリスクが生じます。

その点、任意売却であれば、通常の不動産売却と同じ方法で広告や売却活動を行うため、周囲に事情を知られる心配がありません。プライバシーをしっかりと守りながら、静かにこれまでの住まいを手放し、次の一歩を踏み出せる点は、精神面でも大きなメリットとなります。

残債の返済計画も相談できる
任意売却の大きな特徴のひとつに、売却後に残ってしまった債務の扱いについて、金融機関と柔軟に協議できる点が挙げられます。これからの生活を圧迫しないよう、無理のない範囲での分割返済計画を立てることが可能です。

一般的には、自身の収支状況に合わせて、毎月数千円〜1万円程度の返済額で合意が得られるケースもあり、生活に支障をきたさない範囲で返済を続けることができます。

離婚後の生活再建を長期的な視点で考えたとき、このように柔軟な対応を相談できる点は非常に心強い要素となるでしょう。

リースバックを利用できる可能性がある

「リースバック」とは、不動産を売却した後、新しい買主と賃貸借契約を結ぶことで、そのまま同じ家に住み続けられる仕組みのことです。

離婚後も、子どもの学校や生活環境を変えたくない、あるいは住み慣れた環境を変えずに生活したいという希望がある場合、このリースバックを活用することで、引越しの負担を回避できる可能性があります。

将来的に経済的なゆとりができれば、再び買い戻すという選択肢が用意される場合もあります。

日住サービスでは、こうしたリースバックに関するご相談も承っております。お客様のご事情に合わせ、最適な解決の形をご提案させていただきます。


離婚時に住宅を任意売却するデメリット

任意売却にはメリットがある一方で、いくつか留意しておくべき点も存在します。後悔のない決断のために、以下のデメリットもしっかりと理解しておきましょう。

信用情報に傷がつく

任意売却を行うためには、前提として住宅ローンの返済を一定期間停止している状態が必要となります。このため、信用情報機関に「事故情報」として登録される、いわゆるブラックリストに載った状態になることは避けられません。

一度信用情報に傷がつくと、5〜10年程度はクレジットカードの新規作成や住宅ローン、自動車ローンなどの審査に通りにくくなります。離婚後の新生活でローンを組む予定がある場合、この点を考慮することが重要です。

必ず売れるとは限らない

任意売却は通常の仲介と同じ流れで進められるため、買主が見つからなければ売却ができません。

また、任意売却には期限があります。競売の開札期日までに売却を完了させる必要があり、その期限を過ぎると競売で売却されてしまいます。相場より高い価格で売り出すと買主が見つからず、最終的に競売になってしまうリスクがあるため、スピード感を持って売却活動を進めることが重要です。

債権者との交渉が必要になる

任意売却では、金融機関などの債権者との交渉が不可欠です。売却価格の設定や、残ってしまったローンの返済方法など、さまざまな条件について納得のいく合意を得る必要があります。

しかし、こうした専門的な交渉を個人で行うのは非常に困難であり、不動産会社と法律の両面における深い知識が求められます。もし交渉がうまく進まない場合、任意売却自体が成立しない可能性もあるため、任意売却の実績が豊富な不動産会社に依頼することが重要です。


住宅の任意売却は離婚の成立前が理想

任意売却という手続きをスムーズに進めるためには、できるだけ「離婚が成立する前」に着手することが理想的です。

任意売却では、不動産の名義人や連帯保証人など、関係者全員の同意が必要となります。離婚協議と並行して手続きを進めることで、夫婦で話し合いながらスムーズに進めることができます。

一方で、離婚後に任意売却を行おうとすると、元配偶者と連絡が取れなくなるケースが少なくありません。連絡が取れなければ同意を得ることができず、その間もローンの滞納だけが積み重なって、最終的に競売を避けられなくなるというおそれがあります。

また、離婚前に不動産を売却して現金化することで、財産分与の計算がシンプルになるという利点もあります。離婚協議の中で不動産の処分方法を明確に決め、離婚前に売却を完了させることで、離婚後のトラブルを避けることができます。


離婚時に任意売却をする際の注意点

実際に任意売却を進める際には、後のトラブルを未然に防ぐため、以下のポイントに十分注意して進めていきましょう。

任意売却後に残ったローン債務の返済義務は名義人や連帯保証人にある

任意売却によって不動産を手放したとしても、売却価格で返しきれなかった分のローン(残債)が消えてなくなるわけではありません。その返済義務は、引き続きローンの名義人や連帯保証人が負うことになります。

そのため、離婚協議の際には、この残ってしまったローンを誰が、どのように、いつまで返していくのかを明確に定めておくことが極めて重要です。口約束だけでなく、離婚協議書や公正証書に記載することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

たとえどちらか一方が「全額返済する」と約束しても、法的な債務者や連帯保証人の立場は変わりません。相手が返済を怠った場合、金融機関から請求される可能性があることを理解しておくことが重要です。

債権者が複数の場合には配分が必要になる

住宅ローン以外にも、カードローンや消費者金融などからの借入がある場合、売却して得た代金をどの債権者にいくら割り振るかという「配分案」を作成し、全員の合意を取り付けなければなりません。

この配分案の作成には専門的な知識が必要で、たった1人の債権者が反対しただけでも、任意売却は立ち行かなくなってしまいます。

債権者が複数いる場合は、任意売却の経験が豊かな不動産会社だけでなく、債務整理のプロである弁護士や司法書士ともしっかりと連携を取りながら、慎重に進めていくことをおすすめします。

着手金はかからない【詐欺に注意!】

任意売却における不動産会社の仲介手数料は、売却が成功した際に、その売却代金の中から支払われるのが原則です。したがって、相談料や着手金といった名目で、事前にお金を請求されることは通常ありません。

もし任意売却の相談時に「着手金が必要」「先に費用を支払ってください」と言われた場合は、悪徳業者の可能性があります。

正当な不動産会社であれば、売却が成立するまで費用を請求することはありません。不審な請求があった場合は、契約を結ぶ前にほかの業者にも相談してみることをおすすめします。

専門的な知見を持つ不動産会社を選ぶ

任意売却は一般的な不動産売却とは異なり、金融機関との交渉や債権者間の調整など、専門的な知識と経験が求められます。

そのため、単なる仲介業務にとどまらず、債権者との交渉実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。また、法律面でのトラブルにも即座に対応できるよう、弁護士や司法書士などの士業と強固な連携体制を築いている会社であれば、より一層心強いでしょう。

業者選びの際は、過去の実績やサポートの細やかさをしっかりと比較検討されることをおすすめします。


まとめ

離婚時にオーバーローン状態の不動産を抱えている場合、任意売却は有効な選択肢のひとつです。競売よりも高く売却できる可能性があり、周囲に知られることなく手続きを進めることができます。

しかし、信用情報に傷がつくことや、債権者との交渉が必要になることなど、デメリットや注意点もあります。任意売却を検討する際には、メリットとデメリットを十分に理解したうえで判断することが重要です。

また、任意売却は離婚前に進めることで、手続きがスムーズに進みやすくなります。離婚後は元配偶者と連絡が取りにくくなるため、離婚協議と並行して進めることをおすすめします。

日住サービスは、兵庫・大阪・京都エリアで豊富な任意売却の実績を持つ不動産会社です。法律や税金など、自分ひとりでは判断が難しい場面でも、お客様の状況に応じた柔軟な解決策をご提案いたします。

任意売却をご検討の際は、ぜひ日住サービスまでお気軽にご相談ください。

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