太陽光発電導入のハードルは案外低い?!
2025年4月から東京都と川崎市(神奈川県)において新築戸建て住宅に太陽光発電設備の設置を義務化する基本方針が決定されました。これらは、政府が2050年達成を目指す「温暖化ガス排出の実質ゼロ」に向けた、自治体の対策の一環と考えられます。
当社の営業する地域のうち京都府では、すでに延べ床面積300平方メートル以上の建築物に太陽光発電の設置義務が定められております(2022年4月施行)。
折しも、電気料金の高騰が家庭の太陽光発電設備導入の追い風になるタイミング。今後も義務化を検討する自治体が増え、太陽光発電設備の普及や支援が進むと考えられます。
これからは、新築やリフォームの際に太陽光発電設備の設置を提案されることが一般的になるかもしれません。今回は、太陽光発電導入のメリットと設置コストについて考えます。
太陽光発電システム導入のメリット
太陽光発電システムを導入した場合の主なメリットは、「電気代削減」と「停電時の備え」の2つ。
昼間発電して自家消費すれば、電力会社から購入する電気量を軽減することができます。蓄電池を導入すれば、昼間に貯めた電気を夜に使うなど効率よく利用できるうえ、蓄電池に貯めきれなかった電気は電力会社に売ることができます。太陽光発電設備を設置してから10年までは、「FIT制度」により高く買い取ってもらえます。
発電した電気は電気自動車にためることもできます。蓄電池と電気自動車が充電されていれば、停電の際も、普段と変わらずいつものように電気を使うことができます。
住宅用太陽光発電システムの費用は減少傾向
太陽光発電の設置費用はソーラーパネルの電気容量によって異なりますが、経済産業省のデータでは、2022年度の太陽光発電システムの設置費用は1kWあたり平均26.7万円。
一般的な住居用ソーラーパネルであれば3〜5kWの出力で十分とされています。これを参考に換算すれば、設置費用の相場は約80.1万〜133.5万円(26.7万円×3〜5kW)と考えられます。2012年の費用平均値は1kWあたり40万円台だったので、この10年弱の間で1kWあたり約10万円以上も安くなったことになります。
見積もりは複数社に。一括見積もりサイトも便利
太陽光発電システムの設置費用は、主に設備費・工事費・諸経費からなり、パネルやパワーコンディショナーなどの費用を含む設備費が全体の約60%を占めます。
太陽光発電のパネルはメーカーごとに発電量が異なります。一般的に発電量が少ないほうが安くなりますが、1枚あたりの発電量が少なければその分パネルの枚数を増やす必要があるため、より広い設置スペースが必要になります。
設置面積が大きくなった場合、工事の手間が増えるため設置費用も割高になります。それは、形状が複雑な屋根に設置する場合も同様です。
パネルの施工方法も様々で、スレート瓦、和瓦、金属など屋根材によっても異なり、更に設置業者によっても費用に差があります。ソーラーパネルのメーカーや施工業者の評判も調べた上で判断することが必要です。地元で信頼のおけるリフォーム会社に相談されると良いでしょう。
なお、ハウスメーカーの建物であっても、昔の建物はそもそもソーラーパネルを設置することを考えていない設計となっている場合が多く、構造体力上の問題がある場合があります。そのため、建てたハウスメーカーにも問い合わせて、設置の可否についてしっかりした根拠を示していただくことをお勧めいたします。
見積もりはなるべく複数社に依頼し、比較検討して選ぶようにしましょう。一括見積もりサイトを使うと、1社ごとに依頼する手間が省けます。
補助金を利用する
太陽光発電や蓄電池の設置に対しては、国や都道府県、各自治体で補助金を出しているケースがあります。まずはお住まいの自治体などの情報を調べることをお勧めします。
補助金の申請受付は予算額に達すると終了することが多いので、最新の情報をチェックするようにしましょう。東京都でも、新築住宅への太陽光発電設備の導入費用に対する補助・助成金制度の情報が日々更新されています。
太陽光発電の耐用年数と保証
JPEA(一般社団法人太陽光発電協会)によると、太陽光パネルの実際の耐用年数は20~30年程度。
使用環境やメンテナンスによって寿命は変わりますが、正常に動作していたとしても、徐々に劣化して発電効率が下がります。風雨が厳しい気候や小石や木の枝がパネルにぶつかりやすい場所などは、劣化率が高くなります。太陽光パネルそのものの品質によっても劣化率は変動します。
太陽光パネルで発電した直流電流をコンセントで使える交流電流に変えるのが「パワーコンディショナー」。パワーコンディショナーの寿命は、10~15年。パワーコンディショナーは精密機器のため、直射日光と風雨ができるだけ当たらないように、壁面に取り付けることが一般的です。屋内の場合は、高温多湿を避けて設置することで寿命が延びます。
機器の保証
各メーカーは、太陽光パネルとパワーコンディショナー、分電盤、ケーブルなどの機器の保証をしており、機器に不具合が見つかった場合や意図しない事故などによって故障した場合に、無償で修理・交換をしています(パネルのみを保証対象とし、周辺機器を含まないケースも有)。
また、周辺機器のメーカーがパネルのメーカーと異なる場合は対象外になります。保証期間は、パワーコンディショナーの寿命を考えれば、15年以上あったほうが安心です。
出力保証と自然災害補償
初期状態からの劣化率が一定以上になったときに無償で修理・交換するのが、「出力保証」。初期状態の定義はメーカーによってさまざまですが、一般的には、JIS規格で決まっている標準的な環境で使った場合の出力である「公称最大出力」からの劣化率と使用期間で決まります。例えば「最初の性能を100%として、20年以内に80%未満に落ちてしまったら保証する」などとされているのが、出力保証です。
「自然災害補償」とは、風災・雪災・洪水などの自然災害によって、太陽光発電システムが故障した場合に、無償で修理・交換を受けられるものです。細かい決まりはメーカーによって違いますが、地震や津波、噴火による故障は、保証の対象にならないことが多く、自然災害補償がないメーカーもあります。心配な場合は、住宅総合保険や火災保険などに加入しておきましょう。
最後に
「ペロブスカイト」と呼ばれる物質を材料に使う太陽光パネルが注目されています。重さは現在、主流となっているシリコン型パネルの10分の1で、薄くて曲げられるのが特徴。製造コストは従来の半額程度と期待されています。
また、積雪によって屋根に太陽光発電を設置するのが難しい場合、外壁に太陽光発電パネルを設置できる新しい工法も開発されています。
一方、従来の太陽光発電システムの価格は徐々に低下しており、2023年度の住宅用太陽光発電システム設置の費用相場は80万〜133万円。補助金制度など政府の後押しも期待できるため、導入へのハードルは低くなってきています。これを機に、太陽光発電導入について考えてみてはいかがでしょう。
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