暮らしを快適にする「窓のコツ」

窓の位置  

窓は、明るい陽光や青い空、庭の緑、爽やかな風を室内に採り込み、暮らしを豊かなものにしてくれます。

だからといって、窓は多ければ多いほど良いわけでもなく、大きければ大きいほど良いわけでもありません。

大きさや位置を選ばないと、外部から室内が丸見えになったり、夏の西日が暑すぎたり、あるいは、家具の配置に困ったりしてしまうかもしれません。建築工法によっては、窓が多い・大きいことが建物の強度に影響することもあります。

 

そこで、窓について全2回で考えます。第1回では、暮らしを快適にする「窓のコツ」を紹介します。

 

窓の方向は、「卓越風」から考える

  卓越風  

「夏は涼しい風がほしいけれど、冬は冷たい風は避けたい。」

風を味方につければ、住まいをより快適なものにできます。

 

お住まいの地域では、各季節にどの方角から風が吹くことが多いか調べてみましょう(「卓越風」と呼ばれています)。卓越風が分かれば、通風に適した位置に窓を配置することができます。

 

ただし卓越風の向きに窓を設置しても、隣家との距離が近いと、効率的に風が採り込めないことがあります。その場合は、庭を設けるなど建物の配置を工夫すると良いでしょう。

 

また、風が吹いてくる方向にグラウンドや畑などがあれば、風に乗って砂や土埃が運ばれてくる可能性もあります。卓越風だけでなく周辺環境も調べて、窓の位置を決めるようにしましょう。

 

風の方向によって窓の形式を選ぶ

  窓の形式  

窓があっても、入口と出口がないと室内に風は流れません。つまり2方向に窓があれば、通風効率が良くなります。窓が1つしか作れない部屋の場合は、出入口のドアを引き戸にして、開放した状態を維持しやすくすれば、風が通り抜けやすくなります。

 

窓の形式によっても通風効率は異なります。

 
  • 引き違い窓・片付き窓(上段右)

2枚の障子を左右に開くのと同じ形式の窓。窓の正面から風が吹く場合は約70%が室内に流入しますが、窓と平行に吹く場合は約50%と少なくなります。

  • 縦すべり出し窓(中段左から2つ目)

一方の縦を軸に開く形式の窓。風が窓と平行に吹く場合は、窓のどちら側からの風かによって流入する量が変わってきます。風が吹いてくる方向に開口していれば約80%、反対なら約50%になります。敷地の風の向きによって、どちら側に開くようにするか決めると良いでしょう。

 
  • 横すべり出し窓(上段中央)

上を軸に開く形式の窓。窓の正面から吹く風より、窓と平行に吹く風を効率良く採り込むことができます。窓の正面からの風の流入が50%としたら、平行の風は80%。平行の風は左右どちらから吹いても同じです。

 

窓の断熱性能を高めて、夏涼しく、冬暖かい住まいに

  複層ガラス  

室内の熱の出入りのほとんどが、開口部と言われています。冬、暖房によって暖められた空気は開口部から失われ、夏、暑い外気は開口部から流入します。窓は、住まいの温度環境に最も影響を及ぼす部分の1つなのです。したがって予算の許す範囲で、できるだけ断熱性の高い窓を選ぶようにしましょう。

 

窓ガラスには様々な種類がありますが、新築住宅で一般的に採用されているのは、合わせガラス・複層ガラス・Low-Eガラスの3つ。どれも単板ガラスより断熱性に優れています。

 
  • 合わせガラス

2枚のガラスの間にフィルム(中間膜)を挟んで一体化させたガラス。割れにくく、割れても破片が飛び散りにくいなどの特徴があります。紫外線や赤外線を吸収する機能があるものや、強度をより高めた防犯ガラスなどのバリエーションがあります。

 
  • 複層ガラス

2枚または3枚の板ガラスの間にある中空層に乾燥した空気を挟み込むことで断熱性を高めたガラス。結露しにくいなど、メリットがあります。中空層に厚みがある方が断熱性能は高くなり、その層に空気ではなくアルゴンガスを封入したものの方が高性能です。

 
  • Low-Eガラス

特殊な金属膜をコーティングした低放射(Low-E)ガラスを使った複層ガラス。室外側のガラスがLow-Eガラス、中空層を挟んで室内側のガラスが板ガラスで構成されています。Low-Eガラスが中空層の放射伝熱を抑えるため断熱性が高くなります。赤外線や紫外線のカットにも有効です。

 

また、サッシ枠の断熱性も窓全体の性能に影響します。

枠材によく使われているアルミはサビに強いものの熱伝導率が高く、せっかく断熱ガラスを使っても、枠の部分から熱の流入・流失が起きてしまいます。結露が発生しやすいのもデメリットです。一方で樹脂サッシは、断熱・遮熱・気密性に優れていますが、価格が高くなります。

近年では、室外側にアルミを使い、室内側に樹脂を使った「複合サッシ」が多く使われています。

 

日射の調整

  日射  

夏は強い陽射しで熱くなってしまう南窓も冬は貴重な熱源になります。

ですから夏の〝熱さ〟だけに着目して、それを理由に窓を諦めるのではなく、少し視点を変えて〝日射を調整する手段〟を考えてみてはいかがでしょう。

 
  • 窓の前に落葉樹を植える

夏は葉が茂り、室内への陽射しが遮られ窓が熱くなるのを軽減できます。冬は葉が落ち、室内に陽光が差し込みます。

 
  • 庇や袖壁を設ける

南窓に深い庇を設ければ、夏の高い陽射しは遮られ、冬の低い陽射しは採り込まれることになります。東西の窓には、低い陽射しが当たるので、庇ではなく袖壁を設ければよいでしょう。

 

最後に

  通風効率  

窓の位置を決める時は、まず住居周辺の風向き(卓越風)を調べることから始めましょう。

 

窓の形式によっても通風効率が変わってきます。どんな風を採り込みたいのか具体的にイメージして、それに合った窓を採用しましょう。また、室内の熱の出入りを軽減するために、断熱性能の高い窓を選ぶことも大切です。

     
株式会社日住サービス

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