「日当たり」をどう考える?~日当たりの悪い部屋の住み心地を高める工夫~
住まいを考えるとき、「日当たりの良さ」をつい考えがちです。南向き住戸に人気があるのも、日当たりの良さを求めるからでしょう。ですが、日当たりの良い部屋にデメリットはないのでしょうか?日当たりの悪い住戸でも、何かしら工夫をすることによって、住み心地をよくできるのではないでしょうか。日当たりの良い部屋、悪い部屋それぞれのメリット・デメリットを探りながら、住み心地を高める工夫を見つけていきましょう。
日当たりの良い部屋のメリットは「身体のリズムを整えてくれること」
起床後、朝一番に太陽の光を浴びることで、身体のリズムが整います。日光を浴びることによりセロトニン、別名「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質が生成され、精神が安定しやすくなります。そのようになるのは、セロトニンが朝に合成され、心を安定させる効果があるからです。
また、脳が活動するための準備をはじめ、体温や臓器、自律神経の調整などを十分に行うことで、日中、活発に活動できるようになると考えられています。さらにセロトニンは、夜には眠気を誘う睡眠ホルモンの分泌にも関わっていることから、1日を通して身体のリズムを整える効果が期待できます。
洗濯物が乾きやすく、室内に湿気が溜まりにくい
日当たりが良いと、洗濯物が乾きやすいですね。夏なら、お昼までに乾いてしまうことも。また、日差しを多く取り入れることで、室内に湿気がこもりにくく、カビなどの発生が抑えられます。日当たりが良いことは快適な室内環境を保つことにも一役担っていそうです。
<電気代の節約に繋がる>
室内に日差しが入る時間が長ければ長いほど、ずっと明るく、照明がいらない時間帯が作れます。照明をつける時間が短くなり、夜だけ電気をつければ済む場合も。また、冬でも部屋が暖かくなります。日差しの強さによっては暖房器具の使用を抑えることができ、照明や暖房器具の使い方しだいで光熱費の削減に繋がるでしょう。
では、デメリットはあるのでしょうか?
強い日差しにより、フローリングや畳、家具などが日焼けしやすくなります。日差しが入る和室の家具を動かしてみると、家具が置いてあった所となかった所では、畳の色が変わっていることがよくあります。フローリングの日焼けは、さほど目につきませんが、畳の日焼けは一目瞭然。また、日差しがたくさん入ってくるために、夏は夜まで室内温度が下がりにくく、暑くなりやすいです。
これらのデメリットの回避策としては、日差しが強くなる時間帯や時期に応じて、カーテンやブラインドで日差しを和らげること。遮熱性・透過性・遮光性など、日差しに対応する機能性を備えた素材を選ぶのがポイントです。
また、南向きの住戸は人気があるために、家賃や価格が高めに設定されていることがあります。これもある意味、デメリットといえる点でしょう。
日当たりの悪い部屋はどうなのでしょうか?
デメリットが多いと思われがちな日当たりの悪い部屋でも、工夫しだいで過ごしやすい住空間になります。
メリットとしてあげられるのは、何より、日当たりの良い部屋と比べると人気が低いために、家賃や価格が抑えられる傾向があること。住居費を抑えたい方には魅力です。
日差しが少ない分、室内が暑くなりにくく、夏場は過ごしやすそうです。
家具や畳は日焼けのリスクが低いため、きれいな状態を保ちやすいでしょう。
デメリットとしては、冬場は室温が上がりにくいため、寒く感じることがあり、暖房で光熱費が上がってしまう懸念も。
朝から明るい南向きと違い朝日を浴びにくいため、体内時計がうまく機能せず、生活リズムが崩れやすくなることがあります。人によっては、ストレスが蓄積されてしまうかもしれません。
また、部屋が暗くなりやすく、昼間でも照明をつけなければ生活しにくいことがあります。洗濯物が乾きにくく、部屋干しをした際に湿気がこもりがちになり、カビが生えやすくなることにも繋がります。
<日当たりの悪い部屋を快適な住空間にする創意工夫>
日当たりの悪い部屋で、快適に暮らす方法はないのでしょうか?世の中、南向き住戸ばかりとは限りません。マンションの立地や建物形状によっては、北向きの住戸がプランニングされていることもあります。
デメリット解消法①照明
まず、照明選び。
明るさの目安となるW(ワット)、LEDライトなら明るさの単位lm(ルーメン)、色温度なら暖色系の「電球色」「温白色」、白系の「白色」「昼白色」、寒色系の「昼光色」があり、色温度の選び方で部屋の雰囲気が変わります。太陽光に近いLED照明を使用することで、太陽と同じ波長の光を受けることが可能で、快眠や精神安定の効果が期待できます。
照明器具にはさまざまなタイプがあり、ペンダントライト、スポットライト、シーリングライトなど部屋全体を明るくする天井照明から、スタンドライトやフットライト、間接照明などの、暗くなりがちな場所の壁や床、天井に光を反射させるタイプなどまで、多岐に渡ります。
照明器具はインテリア要素も兼ねているので、目的に合った機能性を満たしつつ、見た目にもお洒落な器具を選ぶようにしましょう。
デメリット解消法②インテリアⅠ
<インテリアは、白や明るいベージュなどの明るめの色がおすすめ>
特に、白は太陽の光を反射するので、日当たりが悪いお部屋でも明るく見せることが可能です。また、紫外線を反射する働きもあり、室内の湿気やカビの増殖を抑えることができます。
カラーを取り入れる場合は鮮やかな雰囲気のパステルカラーを。インテリアや壁紙が明るい色の場合、太陽光や照明光を反射しやすくなり、部屋全体が明るい印象になるでしょう。
<窓にスクリーンやシェードを設置>
通常のカーテンよりも、自然光を取り入れてくれる障子風のスクリーンや、透け感があるタイプのシェードの方が、室内に光を取り入れやすいです。カーテンを設置する場合は、光を通しやすいレースカーテンなどがいいですが、外から家の中が見えにくくなる遮像カーテンなどを選ぶとよりよいでしょう。
デメリット解消法③インテリアⅡ
<鏡を置いて光を反射させる>
部屋に鏡を置くことも、日当たりの悪さを改善できます。鏡は、太陽の光を反射させることができるので、日差しの悪い部屋でも明るくすることが可能です。また、窓の対面に設置すれば部屋を明るくするだけでなく、広く見せる効果も期待できます。
うまく反射させられれば、部屋を明るくできるので電気代の節約にも繋がります。ただし、お部屋が狭い場合は、鏡が邪魔になるケースがあるので、邪魔にならない程度の大きさを選びましょう。
<換気を心掛ける>
湿気はカビの原因となるため、日当たりの悪い部屋は特に気をつけたいところ。在宅時はこまめに換気を行い、家の中に湿気がこもらないように心掛けることが必要です。洗濯物を部屋干しするときは、乾燥機や除湿機の併用を検討しましょう。
最後に
日当たりの良い部屋は、誰もが憧れる部屋ですが、日当たりの悪い部屋も、創意と工夫次第で、住み心地が高められます。住居費を抑えたい、在宅時間が少ないなどライフスタイルによっては、日当たりの悪い部屋も、住まい選びの選択肢のひとつとなり得るでしょう。
なお、南向きが明るいとは言いますが、全室が南に向いているわけではありませんので、物件選びの際は各部屋を見て検討する必要があります。
北向きや東向きの部屋でも全体的に明るい物件もあります。また、ご自身が朝型のタイプの方ならバルコニーがやや東に向いている物件の方が快適に過ごせたりすることもありますので、ライフサイクルを鑑み検討されることをお勧めします。株式会社日住サービス
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