住むほどに愛着の深まる室内はメンテナンスの賜物~マンションのメンテナンス~

マンションは居住者全体で共有し管理する共用部分と、各居住者が区分所有する専有部分に分けられます。住宅としての性能や資産価値を維持するために、共用部分・専有部分ともに適切なメンテナンスや修繕が必要です。共用部分は一般的に、10年~12年おきに大規模修繕が行われます。では、専有部分(室内)のメンテナンスについて、どのように考え、どのようにメンテナンスをしていけばよいのでしょうか。ここでは室内メンテナンスについてみていきましょう。

専用部分のどこまでメンテナンスが必要?どこまで自由にリフォームができる?

まず、専有部分の確認です。専有部分はコンクリートの躯体で仕切られた内側の住戸部分で、天井と壁、床を構成する躯体は共用部分となります。

専有部分とは部屋の中であり、

壁クロスやフローリング、畳/躯体以外の間仕切り壁/玄関扉の錠と内装/室内のドア、引き戸、襖/キッチン、レンジフード、ユニットバス、洗面台、トイレ/クローゼット、押入

などは、管理規約を遵守しながら設備機器の取り替えやリフォームができます。また、下記の

玄関ドア、インターフォン/窓枠、窓ガラス/バルコニー、専用庭/パイプスペース

などは、専有部分に付随しているかのように思えますが、「専用使用部分」と呼ばれる共用部分となり、自由に変更できません。

〇〇号室として区切られた部分が専有部分です。例えば、玄関扉で専有部分になるのは錠と内装部分のみで、玄関扉の内側の色替えは自由ですが、外側の色替えはできません。配管や配線は、〇〇号室として区切られた部分内にあるもののみが専有部分になります。

築10年目を目安に点検、メンテナンス、リフォームを検討しましょう。

キッチンや浴室、洗面化粧台などの水回りの住宅設備機器類の耐用年数は10年が目安とされています。今までしなかった異音やサッシのがたつき、玄関ドアの閉まりの不具合などを見つけたら、メンテナンスか交換、リフォームをしましょう。

築10年目でやっておきたい点検とメンテナンス&リフォームのリストを挙げてみると……、

【キッチン】レンジフード、コンロなど機器本体の点検・交換/吊戸棚の蝶番やパッキン、引き出しレール等の部品交換/扉面材の調整

【洗面台】本体点検・交換/引き出しのレール等の部品交換/排水栓の交換

【浴室】コーキング材・目地材の取り替え/ドア・枠パッキンの取り替え/浴槽ゴム栓交換

【トイレ】便器・タンクの点検・部品交換

【給湯器】本体点検・交換

【サッシ】戸車やクレセント鍵の点検・交換

【玄関ドア】蝶番や鍵の再調整・交換

【室内ドア】再調整

などがあります。

壁クロスの張替えや塗装のやり直しなど内装の場合は、15年~20年を節目にするとよいでしょう。

ただ、日焼けでクロスの黄ばみが気になる、家具のレイアウトを変更したいがクロスの変色が気になるなど張り替え時期を早めたい時は、節目の年数を待たずにリフォームすることも可能です。

 

専有部分の床下の配管について知っておきたいこと

「給水管については本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については配管継手及び立て管」とされています。水道メーター後の給水管が専有部、雑排水管・汚水管は、立て管への継ぎ手までが専有部になります。

マンション内で漏水が起こった場合、その漏水の原因が専有配管だった場合は専有部分の所有者に賠償責任があり、共用部分だった場合には管理組合に賠償責任があります。

しかし、床スラブ(コンリート部分)に配管・配線があるマンション構造のため「共用部分」と判断されるケースや、管理規約で明確に専有部分と共用部分の境界を明記しているマンションもあるなど、ケースバイケースで判断が異なってきます。

漏水の責任の所在は場合により判断が異なりますが、大事なことは『区分所有者が賠償する可能性がある』ことを頭に入れておくことです。

キッチンや洗面台の下にある配管の管と管のつなぎ目からの漏水が多く、10年ごとにプロの点検を受けるのもよいですが、数ヶ月や年に一度、主な水回りに問題がないかを自分の目でチェックすることを心掛けましょう。

また、事前に管理規約や保険の内容を確認するとともに、マンション全体で実施する排水管洗浄等のメンテナンスや建物の修繕計画には積極的に参加し、漏水予防を心がけましょう。

 

床下にある専用配管のメンテナンスってどうすればいいの?

専有部の配管メンテナンスは個人負担ですが、一般的に共用部分の配管交換の際に合わせて行うことが推奨されています。 共用部分だけを交換しても、配管が老朽化すると、漏水によって階下への水漏れ事故が起こる可能性が残ってしまうからです。

これまでは、配管の取替え等に要する費用のうち専有部に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担するものとされてきました。 しかし、専有部の配管の取替えについて、共用部分の配管の取替えと同時に行うことにより費用が軽減される場合も。一体的に工事を行うことについて、先行した区分所有者への補償の有無等も考慮しつつ、規約で規定することで修繕積立金から拠出することが可能となることがあります。

 

大規模修繕工事のオプション工事として専有部分のメンテナンスができる場合も

大規模修繕工事のオプション工事とは、工事を請け負った会社が大規模修繕工事の施工中に平行して、居住者のうち希望する世帯に依頼を募り、主に共用部の専用使用部分や区分所有者の所有物に対して施すものです。

工事の内容はさまざまですが、居住者の希望のみで施工できるものと、管理組合の確認が必要なものに分けられます。これらの事項の区分については管理規約で規定している場合もあるので、オプション工事を検討の際には、マンションの管理規約を確認しましょう。

<居住者の希望のみでできるオプション工事の一例>

窓サッシの補修(戸車・クレセント・ゴムパッキンなどの交換)、網戸の取替え、張替えなど。

<管理組合の確認が必要なオプション工事の一例>

玄関ドアの補助錠設置、ドアスコープ・ドアクローザーなどの交換、インターフォンの交換(個別タイプ)など。

<専有部を含む給排水設備工事時に施工できるオプション工事の一例>

住宅設備機器(キッチン・洗面台・トイレ・バス等)の交換、その他専有部リフォーム工事など。

給排水設備工事の大規模修繕工事を行う際は、水回りのリフォームを伴う内装工事をオプション工事として施工する場合もあります。

 

最後に

いつもの掃除の折に、少し気を付けて見てあげるだけで傷みつつある箇所が見えてくる...、住むほどに愛着が深まり、ずっと住み続けられる家であってほしいから。室内のメンテナンスやリフォームを5年、10年、20年と定期的に行うことにより、住み心地のよい居住空間が保たれ、資産価値も維持していけるでしょう。
株式会社日住サービス

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