長く快適に住み続けるために、耐久性だけでなく間取りの「可変性」もチェック!

2023.07.16一戸建て
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間取り変更

戸建て住宅の平均寿命は約30年と言われています。でも、よほどの事情がなければ、30年で住めなくなるほど老朽化することはないでしょう。
住宅が短命になる要因の一つとして、家族構成やライフスタイルに家が合わなくなると建て替えが必要になり、まだ住めるのに解体されてしまう、というのが考えられます。このことを踏まえると、ライフスタイルの変化に合わせられる「可変性」の高い住まいなら、住宅の寿命を延ばすことができるかもしれません。

これから家を新築したり中古住宅を購入したりするなら、耐久性・耐震性・省エネなどの基本性能に加えて、間取り変更の可能範囲など「可変性」についても確認しておきましょう。
今回は、間取り変更の可能性を中心に、一戸建ての「可変性」について紹介します。

間取り変更の可能性は、建物の構造次第

 

建物の構造

戸建て住宅の間取り変更の自由度は、「建物の構造」によって異なります。
まずは、一般的な3つの構造を比べてみます。

 

◆間取り変更の自由度が大きい、木造軸組工法(在来工法)

 

木造軸組工法

 

「木造軸組工法」(在来工法)とは、梁や柱、筋交などの軸組(フレーム)で建物を支える工法です。それらの重要な構造部位さえ残せば、間仕切りになる壁はかなり自由に移動できるため、間取り変更は比較的容易に行うことができます。
ただ、柱は屋根や上階の荷重を支えているケースが多く、安易に撤去すると、建物の強度が低下する恐れがあります。柱を撤去する場合は、別の柱を立てたり金物を使ったりして、強度を補う必要が生じることがあります。

 

◆木造枠組壁工法(2×4工法含む壁式構造)は間取り変更が難しい?

 

壁式構造

 

2×4工法などの「木造枠組壁工法」は、柱や梁の代わりに壁の面を利用して建物を支える構造です。柱や梁のない、すっきりとした室内空間を作ることができるのが特長です。しかし、壁自体が構造の一部となっているため、壁を取り除いたり移動したりするような間取り変更や、窓を大きくする、窓やドアを増やすなどの変更は難しくなります。取り除けない壁がどこの部分なのか確認した上で、リフォームを行うようにしましょう。

 

◆大胆な間取り変更もOK?! RC造・鉄骨造

 

RC造・鉄骨造

 

RC造や鉄骨造の建物は、木造に比べて、自由なレイアウト変更が可能です。室内の柱や壁に、構造体の一部となっているものが少ないためです。こうした柱や壁は移動・撤去が可能なので、壁を移動して新しい部屋を作ったり、壁を撤去して広い空間を作ったりすることができます。但し、壁式構造などの場合は、耐力壁の移動が制限されることがあります。その辺りは注意が必要です。

 

◆木造住宅の構造を見分けるには?

 

部屋形状

 

これまで見てきたように、木造軸組工法と木造枠組壁工法とでは、間取り変更の自由度は大きく違っています。したがって間取り変更を検討する場合は、建物の構造を確認する必要があります。
建物の構造は、部屋の四方の形状からおおよそ見分けることができます。部屋の四方に柱が通っていれば木造軸組工法の可能性が高く、柱が無ければ、木造枠組壁工法の可能性が高くなります。また、木造枠組壁工法は、壁で建物を支えているため、部屋に厚い壁が入っていることがあります。

 

間取り変更の際は耐震性もチェック

 

耐震性

 

木造住宅の間取り変更で、特に気を付けなくてはいけないのが「耐震性能」です。その住宅を建築した際に、その時点で定められた耐震等級を踏まえて構造計算されているので、間取り変更で壁を壊したり移動したりすると、地震の際に倒壊する危険性が高まるかもしれません。

また、キッチンや浴室を2階以上の位置に移動させた場合は、平常時でも、1階部分の柱や壁がその荷重を支えられない可能性も出てきます。

間取り変更の際は、既存住宅の耐震診断をした上で、

①既存の耐力壁に支障はないか
②耐震性能は十分か、不十分な場合は適切な位置に耐力壁を追加できるか
③1階2階の耐力壁はバランス良く配置されているか
を確認しましょう。

 

窓や小屋裏収納の追加はハードル低め

天窓

 

間取り変更の際に、窓の位置を変える必要が生じるかもしれません。その場合、建物を支える耐力壁に新たに窓を設けることは困難ですが、建物の強度に影響のない外壁であれば、窓を移動したり増やしたりすることができます。

「小屋裏収納」や「ロフト」を作る場合は、容積率に注意しましょう。
ロフトは部屋の2分1以下の面積で、1.4m以下という高さ制限をクリアしなければ設置することができません。
小屋裏収納については、建築基準法で明確に定義が決められており、「床から天井までの高さが1.4m未満」「広さは下階の2分の1以下」に収めることとされています。

 

「トップライト」を既存の屋根に設けることは、よほど大きな窓でなければ比較的容易です。ただし、屋根の強度を下げないための補強工事などを行うことが大切です。また、漏水の危険性があるため、新たにトップライトを設ける場合は、補強工事の必要性の有無を含め、できれば当初建築した業者に依頼されることをお勧めします。

「吹抜け」は、上階の床の一部や最上階の天井を取り外して作ることになりますが、建物の構造強度に影響が出ない限り、実現可能です。

 

「可変性」への取り組みがトレンドに

長期優良住宅

 

近年、「100年住宅」や「長期優良住宅」という言葉が聞かれるようになっています。これは今までの家の在り方を見直して、構造部分と内部とを別々のものとして考えるというものです。

構造部分は、長期にわたり健全性を維持できるものとし、内部は、間仕切り壁などライフスタイルや生活の変化に合わせ、リフォームにより撤去したり追加したり変化させながら、長期にわたって家を大事に使っていくという考え方です。

住宅メーカー各社は、壁や柱など動かせない構造体を少なくして、間取り変更の自由度が高められる「可変性」に取り組み始めています。

 

最後に

家族構成

 

家族構成やライフスタイルの変化に伴い、「居心地の良い間取り」というのは、その都度変わっていきます。
一つの家に長く快適に住み続けられるように、新居を選ぶ際は、家の構造を把握し、間取り変更のしやすさなど「可変性」を確認しておくようにすると良さそうです。

 

 

タグ : 一戸建て 間取り リノベーション
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