不動産売買における仲介手数料とは?計算方法や値引き交渉がおすすめできない理由も解説
2024.08.05売却不動産売買を検討している方は、仲介手数料がいくらかかるのかを把握しておくことが重要です。仲介手数料を抑えられる場合もありますが、その一方で値引き交渉によるデメリットも考慮する必要があります。
そこで本記事では、不動産売買における仲介手数料とは何かをはじめ、計算方法や目安を紹介します。
また、値引き交渉を行うことで生じる可能性のあるデメリットについても解説します。これから不動産売買を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
不動産を売買するときにかかる仲介手数料とは?
不動産の売買には、仲介手数料がかかります。この仲介手数料には、どのような費用が含まれているのかを理解しておくことが重要です。そこで、ここでは不動産売買における仲介手数料の内容について詳しく解説します。
売買が成立したときに支払われる成功報酬
仲介手数料は、不動産売買が成立したときに支払われる成功報酬のことです。不動産売買を目的に媒介契約を結んだ後は、売買を成立させるためにさまざまな営業活動を行います。これらの活動に対する報酬として仲介手数料が支払われると考えられます。
具体的には、不動産情報の各種ウェブサイトへの掲載、ダイレクトメールの発送、提携一般企業への紹介活動、ポスティングなどが含まれます。また、購入を検討している登録顧客への物件紹介や物件見学に誘導する販売活動も重要です。
しかし、不動産売買が成立しなかった場合は、仲介手数料の支払いは発生しません。つまり、営業活動や販売活動を行っても、売買が成立しない限り、仲介手数料は請求されないことを理解しておく必要があります。
各種手続きの代行費用
不動産売買の仲介手数料は、さまざまな手続きの代行費用として扱われるケースがあります。各種手続きは、営業活動や販売活動はもちろん、売主様と買主様との間に入って契約条件を調整することや、重要事項説明書作成のための調査、条件交渉のうえで契約書類を作成する業務も含まれます。
なお、不動産売買において消費税が発生する取引には、仲介手数料のほかにも物件の購入や投資用不動産の売却、住宅ローンの事務手数料や融資手数料、司法書士や土地家屋調査士への報酬料などがあります。
仲介手数料の計算方法
不動産売買を検討している方は、媒介契約を結ぶ前に、仲介手数料がどれくらいかかるのかを事前に調査しておくとよいでしょう。ここでは、仲介手数料の計算方法について解説します。
上限額は法律で決められている
不動産売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限額が決められています。物件の売買価格により上限額が異なり、売買価格には消費税が含まれないので把握しておきましょう。
仲介手数料の上限額は、200万円以下の部分が売買価格の5%以内、200万円超え400万円以下の部分が売買価格の4%以内、400万円超えの部分が売買価格の3%以内です。それぞれの上限額には、消費税が加算されます。
3,000万円の物件を購入した場合、200万円×0.05+200万円×0.04+2,600万円×0.03+消費税=1,056,000円(税込)が上限となります。3つの売買価格に分けて計算する必要があるので、手間がかかると感じる方もいるでしょう。
手間がかかるため、通常は次の速算法を用います。仲介手数料の上限額は、物件価格が200万円超え400万円以下の場合、売買価格の4%+2万円となり、物件価格が400万円超えの場合、売買価格の3%+6万円となります。いずれの場合も、それぞれに消費税が加算されます。
なお、令和6年7月より、この仲介手数料の上限について見直しがなされました。
低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)は、特例により「最大30万円+消費税」の仲介手数料を受領できるというものです。
このような特例が設けられた理由は、価格が安くとも仲介業者がするべき仕事は、高額物件でもほぼ同じであるためです。むしろ、低廉な空家等はさまざまな問題を孕んでいるケースが多く、取引に手間が掛かり労力を割かなければならない傾向にあります。
したがって、仲介手数料が安すぎると、取り扱うことによって仲介業者が赤字になる危険性が高く、取り扱いを拒否されるケースもあります。そして益々低廉な空家等が放置されてしまうといった悪循環を断ち切るための措置として、仲介手数料の上限見直しが行われた経緯があります。
媒介契約締結の際には、定められた上限額の範囲内で、合意しておくことが重要となります。
仲介手数料の目安
仲介手数料の目安を把握しておくために、売買価格別の仲介手数料の目安をチェックしておきましょう。仲介手数料だけではなく、消費税を含めた価格を確認しておくことも大切です。
売買価格 | 仲介手数料の上限 | 消費税額 | 仲介手数料の上限と消費税額の合計 |
1,000万円 | 36万円 | 3万6000円 | 39万6000円 |
2,000万円 | 66万円 | 6万6000円 | 72万6000円 |
3,000万円 | 96万円 | 9万6000円 | 105万6000円 |
4,000万円 | 126万円 | 12万6000円 | 138万6000円 |
5,000万円 | 156万円 | 15万6000円 | 171万6000円 |
6,000万円 | 186万円 | 18万6000円 | 204万6000円 |
7,000万円 | 216万円 | 21万6000円 | 237万6000円 |
8,000万円 | 246万円 | 24万6000円 | 270万6000円 |
9,000万円 | 276万円 | 27万6000円 | 303万6000円 |
1億円 | 306万円 | 30万6000円 | 336万6000円 |
仲介手数料の値引き交渉がおすすめできない理由は?
仲介手数料は、場合によっては値引き交渉ができますが、デメリットもいくつかあります。ここでは、不動産会社の収益構造とその重要性において、仲介手数料の値引き交渉をおすすめできない理由を5つ紹介します。依頼する業者によっては、値引き交渉をすると、こちらの希望価格で売買できないおそれがあるので、おすすめできない理由を確認しておきましょう。
広告活動への影響
不動産会社と媒介契約をしたあとは、さまざまな方法で営業活動を行います。たとえば、折り込みチラシを作成して新聞に入れたり、ダイレクトメールを発送したり、複数の不動産情報サイトに物件情報を掲載したりとさまざまです。
これらの営業活動や広告活動には、それなりの費用がかかります。こうした活動にかかる費用は、仲介手数料から捻出される仕組みです。しかし、仲介手数料を値引き交渉すると、営業活動や広告活動へ十分な予算が確保できず、なかなか売買が成立しないという状況に陥るおそれがあるでしょう。
仲介業者の姿勢として、自社の低評価につながりかねない内容をいたずらに売主様へ説明することはほぼないと思われますが、速やかな売買成立を希望している方ほど、仲介手数料の値引き交渉はおすすめできません。
担当者のモチベーションへの影響
仲介手数料は、不動産会社にとって成功報酬といえるため、値引き交渉されると担当者のモチベーションが下がる可能性があります。いくら頑張って売買を成立させようとしても、不動産会社が受け取ることができる報酬が少なくなってしまうためです。
不動産会社の担当者は、売買に関して豊富な知識を持っており、円滑な売買成立にはこうした専門家に全力でサポートしてもらう必要があります。値引き交渉をすることは、不動産会社のサポート内容や価値を低く見ていると捉えられてしまい、その後の関係性にも多少影響するでしょう。
また、不動産会社によっては、仲介手数料の金額次第で給与が増減するケースがあります。担当者自身の生活にも関わってくるので、仲介手数料の値引き交渉は仕事に対するモチベーションの低下につながるケースは少なくないと考えられます。
売却金額が安くなってしまう可能性が高まる
仲介手数料の値引き交渉を行うと、不動産会社にとって儲けが少なくなってしまうことから、その売却物件の活動に投資できにくくなります。営業活動や広告活動に人的金銭的リソースの投下量が減りがちとなり、結果として売却金額が安くなってしまうケースがあります。
たとえそういった場合でもわざわざ売主様に説明する仲介業者はほぼないと考えられ、仲介手数料の値引きに拘わらず「全力を尽くします」という表現がなされるでしょう。
仲介手数料を抑えると広告活動にコスト的制限がかかるため、物件を高額でも購入したいという方がいても、そのような方の目に留まる場所での広告出稿が弱くなりがちです。物件情報を不特定多数の方に見てもらうためにも、仲介手数料は値引き交渉しないほうが結局良い結果を得ることが期待できます。
スムーズな取引が難しくなるおそれがある
不動産売買における仲介手数料の値引き交渉は、担当者のモチベーション低下につながるため、売り手側でも買い手側でも、対応が後手に回ってしまう可能性があります。依頼する仲介業者によっては、ほかの顧客のほうが高い仲介手数料が見込める場合、企業の利益追求の原理原則からそちらの顧客を優先するケースも十分考えられます。
不動産売買において、確実にチャンスを掴むスピーディーさは非常に重要です。対応が遅れた場合、売却や購入を検討している方の目に留まりにくく、チャンスを逃してしまうおそれがあるでしょう。そのため、少しでも早く売買成立を希望している方は、仲介手数料をしっかり支払い、手厚いサポートを受けることがおすすめです。
また、営業担当者も人の子ですから、仲介手数料の値引き交渉だけではなく、対応中の担当者への態度もある程度気を遣う必要があるかもしれません。お互いに有意義で、気持ちのよい取引を心掛けることで、結果としてスムーズかつ満足度の高い売買成功につながるでしょう。
物件探しの幅が狭まるおそれがある
仲介手数料の値引き交渉を行うと、不動産会社が受け取れる報酬が減るため、物件探しに力を入れにくくなるケースがあります。これは先述したとおり、営業活動や広告活動などを行ううえで掛けられるコストに、制限がかかるおそれがあるためです。不動産仲介業者であれば、後々のトラブル発生のリスクを鑑みると、大きな瑕疵のある物件を意図的に勧めるようなことは非常に考えにくいため、できる限りの物件提案に注力してくれるでしょう。しかし、紹介できる物件の範囲が狭まってしまった結果、買手の希望に添った物件を提案することが困難になるケースも考えられます。
まとめ
不動産売買における仲介手数料は、一般的に物件の価格に応じて上限が決められており、これは消費税の課税対象となります。不動産会社にとっては、成功報酬や各種手続きの代行費用などを含む重要な収益源です。
最後に結論としてまとめますと、仲介手数料の値引き交渉は可能ですが、その場合、不動産会社の担当者のモチベーション低下や対応の遅延など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。したがって、売買プロセスを円滑に進めるためには、手厚いサポートを受けることが重要であり、仲介手数料の値引き交渉は、売買の当事者にとって得であるとは言いにくいのが現状だといえます。
上記の内容は、業界内複数企業の営業担当者からヒアリングした結果をもとに記載したものです。日住サービス自体の意見ではありません。
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株式会社日住サービス
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